さらに、大卒を採用できない分の代替として高校生の採用を強化する企業も出てきた。2016年卒対象の高校生の新卒採用見通しは、「増える」(8.4%)が「減る」(2.6%)を上回った(+5.8ポイント)。2015年卒に引き続き、「増える」が「減る」を上回っている。
高卒採用を業種別に見ると前年は製造業と金融業で「減る」が「増える」を上回っていたが、2016年卒ではすべての業種で「増える」が「減る」を上回った。特に、建設業(+8.3ポイント)、運輸(+8.6ポイント)小売業界(+11.6ポイント)、飲食サービス(+20.8ポイント)など人手不足が深刻な業界の採用意欲が強いことがわかる。
人手不足でも採用基準は下げない
こうしたデータを見ていると、2016年3月卒の大卒の就職は簡単そうな感じがするが、はたしてどうなのか。採用見通し調査をまとめたリクルートワークス研究所の戸田淳仁研究員は「採用意欲は強いが基準を下げてまで採用する企業は少ない」という。
バブル期のようにとにかく人数を確保しようとする企業はほとんどない。採用がうまくいかないからといって、採用開始時に定めた採用基準を引き下げることはないのだ。すべての学生の就職が楽になるのではなく、一部の学生に内定が集中し、その他の学生は内定獲得に苦労するという展開になるのではないか。
「今年の3年生はのんびりしすぎている」。多くの大学のキャリアセンター職員が焦りを感じているが、肝心の学生の動きは鈍い。各大学では10月以降、就職関連のさまざまなセミナーを開催しているが学生の出席率が低い。出席率が前年の50%程度というセミナーも珍しくない。
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