有料会員限定

それでも年功賃金は復活しない 成果主義が総崩れしたワケ PART2 大揺れ! ニッポンの賃金制度

✎ 1〜 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 最新
拡大
縮小

年功賃金に呪縛される日本企業。将来展望は。

日本の賃金制度はどのような変遷を遂げたのか。そして今後、どこへ向かおうとしているのか。ここでは多様な賃金形態を分類したうえで、それを占っていこう。

賃金形態とは賃金の決め方のことであり、何をどのように基準にして賃金額を決めているかによって分類できる。

まず、何を基準とするかで、賃金形態は2大分類できる。図表1を見ていただきたい。上が「属人基準賃金」であり、下が「職務基準賃金」だ。

[図表1]
拡大する

特集「日本型雇用システム大解剖」の他の記事を読む

日本の年功賃金の代表格は職能給

上の属人基準賃金は、社員が持つ属性、たとえば年齢、勤続年数、学歴、性別、「職務遂行能力」などを基準として支払う。日本の正社員の「年功給」や「職能給」である。しかし、日本の正社員以外、たとえばアジアを含む外国や、日本の非正社員では、属人基準賃金はほとんど見られない。日本独特の賃金形態である。

職能給は、属人基準賃金の代表格だ。1980年代いっぱいまで、日本企業が高い業績を上げる重要な一理由として職能給が称賛された。職能給は職務遂行能力を評価するので、正社員はその伸長に努力し、それが日本企業の高い業績をもたらすのだという因果関係の主張だ。この能力は、建前はともかく、勤続とともに伸長するのが普通だから、正社員の勤続とともに賃金額が増加するように、実際の職能給は制度設計されていた。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
日本型雇用システム大解剖
有給休暇取得日数 残業時間
ドキュメント物流業界 ネット通販活況の陰で
まず改革してみる
ホワイトカラー・エグゼンプションを考える
PART3 大論争! ニッポンの労働時間
転職希望者・就活生は必見! タブーなしでメッタ斬り
グローバルな報酬水準はこうなっている!
役割給とグローバル対応
ブラック企業の特徴は、
海外のジョブ型雇用慣行
PART2 大揺れ! ニッポンの賃金制度
正社員と労組は
「新卒一括採用=悪玉論」のウソと本当
日本型雇用慣行がよくわかる
気鋭の経済学者が問う
バブル世代のリストラ予備軍は必読
職務単位の雇用契約が海外の特徴
テーマ別 働き方の大問題
だから雇用問題はこじれる
PART1 大解剖! ニッポンの働き方「職務無限定」こそが特徴
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内