長時間労働がはびこる日本だが、法制度にも欠陥がある。
201X年。大手消費財メーカーで商品開発を手掛ける40代の男性Aさんの年収は約1000万円。専門的知識を生かして、市場の分析や企画運営、商品開発支援などに携わる。新製品発表が近づけば、夜遅くまで仕事に追われることもしばしばだ。
15年の労働基準法改正を受けて、Aさんは高度プロフェッショナル制度(高プロ制度、図表1)の対象者になった。高プロ制度は、高度な専門能力を持つ労働者を労働時間規制の適用除外とするもの。高プロ制度への契約変更時に会社側は、従来の平均残業時間に相当する残業代も基本給に反映してくれたため、Aさんの手取りの給与はほとんど変わらなかった。
「これで時間に関係なく、より自由に働けるならいいかな」とAさんは思った。ところが、しばらくすると上司は、「会社の業績が苦しいから理解してくれ」と有無を言わせず業務ノルマを増やしてきた。
Aさんの業務は増える一方で、以前に比べ深夜残業や休日出勤は大幅に増加。体調も悪化し始めた。「高プロ制度の対象になっていなければその分割増賃金も増えたのに、これではやっぱりメディアが言っていたとおり『定額働かせ放題』制度だな」と今では後悔している。
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