何事も職務を基準に決める海外の雇用慣行。ここでは、その採用や賃金設定の方法を具体的に見ていこう。
まず、ベースとなるのは職務記述書だ。海外の雇用状況に詳しいパソナの市川知之グローバル事業部長は「日本と海外の採用時における最大の違いは、雇用契約書のほかに職務記述書があるかないかだ」と語る。
図表1、2がその職務記述書のサンプルだ。職務記述書には、職務名(ポジション)に続き、そのポジションに経営側から求められる職務内容が具体的にリストアップされている。
たとえば上の人事課長の例では、「報酬や給付手当における他社との競争環境を絶えず監視し、代案やコストを評価する」という仕事を筆頭に16個の職務内容が列挙されている。このとき注意すべきは、記述されるのはあくまでポジションに対して期待される職務内容であり、そのポジションの現職者の能力などは加味されないことだ。
日本では、あるポジションの職務内容は、その時々の現職者の職務遂行能力によって増えたり減ったりすることがよくある。日本型では、人が仕事を作るのであり、賃金も職務に関係なく職務遂行能力や勤続年数など人に属する基準で決める。しかし海外では、職務こそが基準であり、人や賃金をそこに合わせていくという順序になっている。
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