マクドナルドがデリバリー市場を破壊する?《それゆけ!カナモリさん》
■注目の価格設定
マーケティングとは消費者と企業の「価値の交換活動」である。デリバリーサービスにおける、「価値」の実現と、その「対価」に注目してみよう。そもそも、消費者がデリバリーサービスに期待することとは何だろうか。
デリバリー。古い言葉で言うならば「店屋物」もしくは、「出前」。両者に続くのは「~で済ます」という言葉なので、「味」に期待するのではなく、「手軽さ」や「時間節減効果」である。「Time save」が中核的価値なら、それがどのように実現されるかという実体は、チェーン化されたデリバリーサービスならではの「当たり外れがない」ということだろう。
では価格はどうか。
デリバリーサービスにおいては、「手軽」という中核価値を実現している、従来型の飲食店、例えば住宅街に近い中華料理屋の場合を考えてみよう。出前をしない、ラーメン専業店の相場は、概ねその時代の「タクシー初乗り料金」と同等とよくいわれることから、750円~800円程度。住宅地の店はそれより安く650円~700円程度だろう。そば屋の基本的なメニューも同等だ。価格は店内価格と出前の場合と同じ。
CoCo壱番屋は配達料がカレー1皿あたり100円+1軒200円だ。カレーの価格はメニューによるが、中間価格帯は750円程度だろう。1皿配達なら1050円となる。費用の根拠としては、片道10分の宅配に時給1000円のアルバイトを使った場合、1注文あたり333円価格に転嫁すれば赤字にはならない。
ピザーラのように価格に込みにするか、CoCo壱番屋のように別料金にするかの違いで、両者の価格帯が同等なのはポリシーが同じだからだろう。こう考えると、配達料が高く感じるが、「手軽」という中核的価値に加えて、「当たり外れがない味」という実体の付加価値分も含めて消費者は受入れていることがわかる。
価格設定には3Cの視点が必要だ。自社視点(Company)・顧客視点(Customer)・競合視点(Competitor)である。
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