民主党にくすぶる火種は大火事になるか

民主党にくすぶる火種は大火事になるか

塩田潮

 「一触即発」「対立先鋭化」といった文字が躍る。

 年の瀬を控え、民主党内は抗争激化の気配という報道が多くなっている。菅首相や岡田幹事長、仙谷官房長官らは小沢氏の国会招致問題で政治倫理審査会への出席を求める国会の議決を目指す。一方、小沢氏側は両院議員総会の開催を求め、参議院で問責決議が可決された仙谷氏の交代を含む内閣改造を迫る動きが活発化しているという。

 菅首相は政倫審への出席の議決実施の方針を固めたようだが、議決しても強制力はないから、小沢氏が拒否する可能性がある。その場合、離党勧告などの処分まで進むかどうか。その覚悟なら、両陣営の戦争が火を噴くかもしれない。

 だが、別の見方もある。民主党は臨時国会で与野党間の熟議による部分連合方式の積み重ねによる多数派の形成を目指す一方、公明党に秋波を送り続けたが、相手はその手に乗らなかった。野党各党が乗ってこなかったのは、評判の悪い民主党政権をなぜ助けるのかと支持者や世論の批判を浴びるからだ。民主党からすれば、野党側が民主党に多少、協力しても支持者や世論の理解が得られる状況をつくるしかない。

 どうなれば状況は変わるか。

 衆議院で3分の2の勢力を確保して参議院否決法案の再可決ができる構図をつくり、民主党が自分の足で立っていると示すこと、支持率を回復させること、もう一つ、小沢氏の国会招致を進めない民主党とは組めないという公明党などの意を酌むことなどが必要だ。

 民主党の狙いは政治状況の転換で、小沢氏の国会招致問題をカードとして使っていると見ることもできる。小沢氏側も反小沢派も、いま民主党分裂も覚悟の上で食うか食われるかの最終戦争に突き進む意図はなく、今後の綱引きを有利に進めるため、ジャブの応酬で相手方の出方を窺っている段階ではないか。

 とはいえ、カードの使い方次第で、くすぶる火種が大火事を引き起こす場合もある。民主党政権はそんな危険なカードに手を出さなければならないところまで追い詰められているのも間違いない。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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