USEN宇野康秀・前社長インタビュー(完全収録)
--宇野さんの父である創業者の元忠氏も個人で借り入れをしていました。元忠氏の経験が影響していたりしますか。
私がUSENを引き受けるとき、父親から「やれ」と言われたわけですが、当時は父が個人で800億円の連帯保証をしていました。私がこの会社を引き受けるということは、すなわち800億円の借金を背負うのと同義だったわけです。そもそもの社長就任自体が、そうした意思決定から始まっていました。
ちょうど創業したインテリジェンスが上場する直前だったので、800億円の借金にも耐えうる資力はあるかなと。育ててもらった恩がありますからね。よく私は言っていたんですけど、「自分のミルク代を作ってくれたのはUSENの社員なんだと」。自分は大学まで出してもらったわけですから、一定のお返しをしていくのは当然と思っていました。それで社長就任時にすでに800億円の借金を背負ったものですから、あとは(どれだけ私財を投じても)同じようなものといいますか(笑)
--いきなり800億円の借金から始まったわけですからね。
そうです、そうです。
--「ミルク代を作ってくれたのはUSENの社員だ」とおっしゃったのは?
子供のときの話ですね。親が生計を立てられたのはUSENという会社があって、社員の方々が頑張っていただいたおかげで、自分も学校に行けて大学まで出させてもらった。その後、インテリジェンスという会社を作って成功することができたのも、そのおかげです。特に金銭的支援をもらっていたというわけではないが、目に見えぬ形で恩恵は色々あったんではないでしょうか。
--子供のときからそんなこと考えているとは、すごいですね。
子供のときのUSENは家業に近いものがありましたので、自分の家に社員が出入りしていましたし、彼らが仕事をしているのを見ていました。なかにはおやつをくれたり、遊んでくれる社員さんもいましたしね。
--トータルで個人の資産をどれくらいつぎ込んできたのでしょうか。
インテリジェンスの株式を会社に入れたのが一番大きいです。その時の価格にして300~400億円くらいでしょうか。総額で500億円はかかっているのではないでしょうか。