USEN宇野康秀・前社長インタビュー(完全収録)

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
USEN宇野康秀・前社長インタビュー(完全収録)

過去12年努めてきたUSENの社長を、11月26日に退任した宇野康秀氏。なぜ今社長を退いたのか、なぜ個人で会社の赤字事業を背負うのか、今後何をしていくのか--東洋経済の独占取材に胸中のすべてを語った。

--11月26日に社長を退き、代表権のない会長に就任されました。

もともと1998年に社長に就任したころから、10年を交代の節目に考えていました。同じ社長が十年以上社長を続けるのは組織にとってよくないですから。(人材派遣会社の)インテリジェンスをちょうど10年でやめたのも、そうした考えからです。USENも10年目を迎えたころ、経営難に直面してしまい、いったん経営の安定化を図るまでは、と思って取り組んできました。今、ようやく安定化の見通しが立ちました。さまざまな方にご迷惑をおかけしたので、けじめをつける意味で社長を降りることを決めました。

--シンジケート・ローン(協調融資)の財務制限条項に抵触していました(11月29日に解消)。銀行団から「辞めてくれ」との要請があったとも聞きます。

当然31行ありますので、それぞれの銀行の考えはあると思う。あくまで一般論ですが、経営陣が何らかの責任を取り、体制を変えたほうが、銀行団の理解は得やすいというのはあります。そうした考えは当然私の頭のなかにもありました。

--基本的には外からの圧力ではなく、宇野さんがみずから判断したと。

はい。

--(有料動画配信の)ユーネクスト、光回線販売の個人BBの2事業を切り離すことも決めました。

USENとしては財務の健全化を急いでいます。ここしばらくの間、事業再生と財務圧縮を進めてきて、おかげさまで有利子負債の削減がかなり進みました。ただ、より健全化していくためには事業の選択と集中を行い、USENがもっとも強みを発揮する部分に集中していくべきと考えています。USENを中心とする音楽放送と、高いシェアを持つ業務店向けシステムのアルメックス、ここに集中していく事業上の戦略があります。ユーネクストなどはこの領域ではないということで切り離す決断をしました。

--宇野さんがこの2事業を個人で引き受けます。なぜですか。

残念ながら、これらはまだインキュベーション(孵化)の途中の事業で、黒字化ができていない段階にあります。そのため、今年の6月ころから譲渡先を探しましたが、見つからなかった。まだ新しい領域だけに「本当に市場が立ち上がっていくのだろうか」という見方もあります。他社との競争関係がどうなっていくかも含め、今後の見通しを立てられる会社はなかなか少なかったのだと思います。

事業撤退という選択肢もありますが、非常に可能性の大きいビジネスだと思うし、ご支援いただいてる方々、そこに従事する社員たちもいる。事業撤退は避けたいと考えました。だとすれば、私が個人で引き受けて、軌道に乗せるべく頑張っていこうと。


関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事