USEN宇野康秀・前社長インタビュー(完全収録)
--社長になって十数年。悔いが残る経営判断はありますか。
振り返れば、多々あります。一番大きなのは光ファイバーの事業をもう少し踏み込んでやっておきたかったなと。インフラ事業だから、はじめに大きな赤字が出るわけです。景気の悪化などで社内でも危機意識が高まり、当時は「脱インフラを進めるべきだ」という声も次第に強まっていました。それで(光ファイバー事業を手掛ける)ユーコムの株式を徐々に手放していった。
結果論を言えば、今この事業は(他社の資本のもと)非常に順調に、大きな利益を出しています。自分たちで光回線の販売を続けていたとしたら、さらに大きな規模にもなっていたでしょう。自分で「これは絶対に次の時代の主流になる」と信じたものはとことんやるということが必要だったかもしれませんね。だから、今回引き受けるユーネクスト、これは絶対将来花開く事業と信じているので、とことんやると決めて個人で引き受けたわけです。
--ギャオのときは同じように、個人で引き受けて徹底的にやるとは考えなかった?
ギャオの場合は広告モデルの無料動画配信サービスです。広告の作り方、販売のしかたのノウハウがあるヤフーなどと一緒にやるほうが伸びるだろうと。もともとヤフーも同様の「ヤフー動画」をやっていましたし、(ヤフーの)井上雅博社長と「これは一緒でやったほうがいいんじゃないの」という話をしていました。
--カラオケ、ネット接続、人材紹介のインテリジェンスと売ってきました。もうこれで事業売却は終わりですか?
これで終了です。
--肩の荷がおりた感じ?
そんなこともないですよ。新しい重責を負っているし、USENも一定の再生のメドは立ったが、また成長シナリオを作って軌道に乗せていかないといけないですから。
--かつては1日の睡眠が3~4時間で働かれていたと聞きます。今はどんな生活ですか。
習慣として夜中まで働くことはやめるようにして、普通に睡眠を取るようにしています。あるときに気がついたのですけど、夜中に会議ばかりするのは社員に迷惑だなと(笑)
--いつ気づいたのですか。
40歳まではまったく酒を飲まなかったんですよ。外に仕事で出かけても戻ってきて、遅くまで仕事をしていました。あるときから、突然体質が変化してお酒が飲めるようになったんですね。接待の席とか行くと普通に飲むようになったので、顔も真っ赤になるし、それから会社に戻って仕事をするわけにもいかない。そんなことが何度かあって、「これは社員たちに悪いことをしたな」と。夜中の0時集合で会議とか、やっていましたからね。