USEN宇野康秀・前社長インタビュー(完全収録)
--事業の話に戻ります。(無料動画配信の)ギャオもそうですが、USENはコンテンツ配信系にかなり力を入れて次の中核事業にしようと目指してきました。結果としては失敗に終わったことになりますが、振り返ってみて、この戦略をどう評価しますか。
事業を十分に育てきれなかったことは非常に残念に思います。ただ会社としてその事業を創造して、いまギャオはヤフー傘下に入っている。色々な道を作れたのかなと。会社として、世の中の進化に役に立っていくという理念に関しては一つの使命を果たせたのかなと考えています。
会社内に事業として残ったものは少ないですが、知識、経験として、私も社員も貴重な経験ができました。
当然、有線放送も今のままでやっていくわけにはいかない。今後新しいメディア、新しい技術で有線放送をどう進化させていくのかというテーマを考えていかないといけないが、この点については無形の資産を得ることができたのではないでしょうか。
--ギャオは嫁には行ったが、嫁ぎ先で元気にやっているという感じでしょうか。
そうですね、順調に伸びているようです。当社の株式の持ち分は非常に少なくなっていますが。
--2001年に光ファイバー事業を自前で始めて、国内に次第にブロードバンドの環境が整っていきました。ギャオはその時流のなかで、上に乗せるコンテンツをやればいいという発想だったと思います。結果として軌道化できなかったのは、方向性そのものがいけなかったのでしょうか。それとも別の原因が?
いくつか要因はあると思います。私は常に新しいサービスを生み出すことによって、社会進化につなげるということを第一に考えてきました。結果として、いち早くやりすぎるというところがあったかもしれません。他社の出方も見ればよかったかもしれない。
光ファイバーのときも、やり始めた直後にヤフーのADSLがわれわれの半額の値段で出てきてやられてしまった。ギャオでも、やり始めた直後にユーチューブ(YouTube)などが台頭してきた。やや早すぎるというのがあったと思います。