3つのヒット商品は「仁丹に替わる人気商品」「最先端技術のオープン化」「開発ではなく企画力のヒット商品」など、同社が追求した新しい道が具現化されています。ビフィーナは発売当初は伸び悩みますが、宣伝効率の徹底見直しで大きく飛躍しました。
赤字額30億円、2003年当時の危機感のなさ
タブレット系商品の氾濫などで売り上げが急減、赤字額30億円と危機的な状況を迎えた2003年。立て直しのため、三菱商事出身で執行役員として入社した駒村純一氏(2006年に代表取締役に就任)は、決算数字のひどさに比較して、社内に危機感が薄いことにまず驚きます。
【駒村社長が気づいた2003年ごろの問題点】
あきらめに覆われた社内。駒村社長は世の中の動きに無関心だった社員に「機会を見つける面白さ」を伝えるため、何度も意見交換を重ねます。社内の雰囲気を変えるため、最初の頃は「ひとりで面白がっていた」ほど。少しずつ駒村社長の熱は周囲に伝わり始め、やがて会社の外の動きに目を向け、機会を探す機運が同社に生まれてきます。
ドラックストアの店頭を見て、怒りが爆発
ただし危機的な状況からの改革は、きれいごとだけでは進みませんでした。駒村氏は入社後、ドラックストアの売り場を回って怒りを爆発させます。自社の商品がほとんど扱われていなかったからです。にもかかわらず、負けている現状をすっかりあきらめている社内。そこで過去の惰性から引き剥がすため、次の対策を打ちました。
【過去の惰性から引き剥がすための対策】
そして、仁丹の製造で培った継ぎ目のないシームレスカプセルの技術を、食品と医薬だけではなく、産業用にも応用展開。70年以上売れ続けた仁丹の栄光は過去であり、未来に目を向ける社風を創り上げ、自社技術を垣根なく応用することで新たな存在価値を見いだしたのです。
最先端企業へ「2つの離れる戦略」を使う未来像
本記事では森下仁丹の駒村社長にインタビューを行い、未来に向けて「離れる戦略」をどのようにとらえているか、という質問に、次の回答をいただきました。
①短期目標ではなく「大きな夢」から逆算する
②囲い込むのではなく、最初から世界に広げることを狙う
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