ウィーンの人はあまり討論などが好きではありませんし、妥協もします。とは言っても本音と建前はなく、断るときは正直に、でもNOときつく言わず丁寧な言葉で断ります。日本のように「検討します」=NOのような話し方は理解されません。期待を持たせることは時間の無駄と考えられています。
さらにオーストリア人と接するときに理解していただきたいのは、「ユーモア」です。オーストリア人はジョークやユーモアが好きなので、スピーチなどは必ずユーモアから入ります。それがたまに皮肉なときもありますが、あまりまじめに受け止めないでください。皮肉を言って楽しんでいるのです。微妙なユーモアがわかるようになったら、オーストリア人とのコミュニケーションはもっと楽しいと思います。
ただし、日本人は冗談を言うときに自分を卑下することがありますが、オーストリア人は自分のことをネタにすることはあっても卑下することはしませんので、ジョークを言う際には間違えないようにしてください。
地域が好きで、中小企業が強い!
人の特性の話をもう少しすると、オーストリア人は自分のルーツを知ることが好きで大切にしています。生まれた場所でずっと生活をし、そこで仕事も見つけ、住むことを好みます。地域を離れたくないのです。それが仕事にも影響し、オーストリア人は仕事を頻繁には変えません。
――仕事を求めて都市に人口が集中したりはしないのですか?
日本ほどは集中していません。そこがオーストリアの企業の性質で、オーストリアでは大企業よりも中小企業がメインです。企業が地域に広がっており、わざわざ都市にでなくても仕事があり、地方にある会社は人手が足りないほどなのです。中小企業であってもそれぞれがその分野のスペシャリストで、世界市場での競争力がとても強い会社が多いことも特徴です。
――どうして中小企業でそのような競争力をつけられるのですか?
ひとつ目の理由は教育です。オーストリアではマイスター制度があるので、職業訓練校やプログラムが充実しています。政府が職業訓練のシステムに投資をしているだけでなく、同時にそれぞれの会社自体も訓練を行っているのです。15歳から子どもたちに経験の機会を与えてトレーニングを行っているため、子どもたちは15歳から社会を学べます。もちろん勉強も大切なので、学校にはきちんと通いながら行っています。
――その子たちが社会に出ると、社会人1年目にして、とても有能な即戦力となる人材ができているということですね。
そうです。それにそういった職業訓練学校を卒業した人はプロフェッショナルとして手に職をもっているのでお給料もいいのです。大学での経営のディプロマよりも、職業訓練校の卒業資格が役に立つこともあります。
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