オーストリアに学ぶ「地方・中小企業主義」

「都会で大企業勤務」以外に広がる選択肢!

 オーストリアと聞いて思い浮かべるのは、モーツァルトを生んだクラシック大国、そしてハプスブルグ王家ゆかりの地、といったイメージだろうか。しかし、観光地としての側面以外に、現代の日本人が学べる点が多くあるかもしれない。オーストリア大使館商務部の商務参事官 マーティン・グラッツさんに、オーストリア人の生き方や、ビジネス慣習などについて聞いた。

「NO」の言い方ひとつとっても多様

――オーストリアと言えば音楽の都ウィーンを擁し、かつてヨーロッパ随一の名門ハプスブルグ王家を生んだ国であるなど、華やかかつフォーマルなイメージがあります。現在の生活やビジネス習慣にも、その影響が強く残っているのでしょうか。

確かにそういうイメージがあるでしょうね。でも実はそれほどフォーマルでもなく、地域によっても異なります。ウィーン、ザルツブルグ、インスブルックなど各地域によって特徴がありますが、最もフォーマルと言えばウィーンかもしれません。

言葉だけ取っても、ウィーンのドイツ語はほかの地域よりも丁寧です。たとえばドイツ人は断るときは“NO”と直接的に言いますが、ウィーンの人はあまり気持ちをオープンにはせず、”NO“と言うときも直接的な表現は好みません。

――それはなぜでしょうか?

やはりハプスブルグ帝国からの流れはあるかもしれませんね。教養のある人が集まり、そこではフォーマルな社会が作られていました。そのときの雰囲気が今も残っています。それとともにウィーンは「人種のるつぼ」です。ドイツやハンガリー、ポーランド、スロバキアなどの隣国から来た人もたくさんいますし、スペイン語、フランス語なども入ってきています。

そういった多様な環境の中で逆に昔からの言葉が残り、丁寧に使うようになったのではないかと思います。丁寧で間接的だからといって、ものすごくフォーマルというわけではなく、ビジネスとしては全体的にリラックスしたムードですよ。

人間関係ではハーモニーが大切にされます。よく使われる言葉に“Gemütlichkeit (ゲミュートリッヒカイト)”という言葉があり、これは「なんともいえない心地よい雰囲気」というような意味です。

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