戦力均衡化、地域密着こそ、プロ野球活性化の切り札
一方、球団の経費構造の中にも、赤字体質をもたらす要因がある。球団の経費には、選手・スタッフ(監督・コーチなど)年俸、球団職員人件費、球場・施設使用料、キャンプ費、二軍維持費、新人補強費などがある。日本の球団の多くは、地方自治体などから球場を借りて試合を行っている。球場使用料として、福岡ソフトバンクは年50億円、横浜は8億円を支払っており、これが球団経営を圧迫している面は否めない。
最近では、東北楽天やロッテのように、地元自治体から球場運営を受託し、飲食販売や広告の収入を得るケースも出てきた。今後、こうした動きは広がるかもしれない。
戦力が均衡すれば観客増に
日本の球団が赤字体質から脱するには、売り上げを増やすしかない。
入場料収入を増やすには、地域密着が有効策の一つとなりうる。MLBでは、球団売買は日本より頻繁に行われるが、オーナーが変わっても、球団名に都市名が冠せられる点は変わらない。地域の住民が地元球団を応援し、年に何回も試合を見にいくというパターンが根付いている。
日本でも、福岡ソフトバンクや北海道日本ハムは地域に定着し観客動員数を伸ばしてきたが、関東圏にはセ・パ5球団が集中。ファンの獲得競争において、一部球団には明らかに不利な状況となっている。
こうした球団には、地方移転も一考に値するだろう。スポーツジャーナリストの二宮清純氏は、プロ野球球団の本拠地として、新潟、静岡、四国の松山などは市場開拓の余地があると言う(本誌5月15日号)。
ロイヤルティ収入やテレビ放送権料を増やすには、MLBのような一括管理の仕組みも必要だ。