戦力均衡化、地域密着こそ、プロ野球活性化の切り札

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中心は入場料で、観客動員力に左右される。テレビ放送権料については、かつては巨人戦がほぼ全試合、地上波で全国放送され、セ・リーグ球団には1試合約1億円とされる放送権料が入っていた。セの全球団とも、この恩恵などから1990年代ごろまでは黒字の時期が多かった。

また大半の球団では、広告収入などそれ以外の収入がもともと少ない。球場での広告収入や飲食販売収入は、球場を保有しなければほとんど得られない。グループで球場を保有する球団は、阪神など一部だ。

つまり、日本の球団の大半は、入場料以外の収入が少ないため、経費を賄い切れず、赤字体質に陥っているのだ。スポーツビジネスに詳しい帝京大学の大坪正則教授は、「MLBに比べ、日本の球団はロイヤルティ収入などが少なすぎる。日本では帽子やユニホームなどを各球団が細々と売っているが、MLBではコミッショナーが全体をまとめて管理している。アパレルのようなリスクの大きい商売は、球界全体でまとまらないと拡大は難しい」と指摘する。

MLBでは、全国放送の放送権料やロイヤルティ収入などを、コミッショナーが一括管理して収入の極大化に努め、各球団に配分している。MLB30球団の合計売り上げは年々増加し、2010年には過去最高の約70億ドルと予想されている。1球団当たり200億円近い。日本の12球団の合計売り上げは、10年前と比べてほとんど増えておらず、巨人、阪神以外の10球団は、数十億円から100億円前後にとどまる。

この売り上げの差が、選手年俸の差をもたらしている。日本のプロ野球選手(外国人は除く)の今年の平均年俸は、約3800万円。これに対し、MLBは約330万ドル(約2億7000万円)と約7倍に達する。毎年、日本の主力選手がMLBに移籍するが、高い給与を提示してくれる球団でプレーしたいと思うのは数字で評価される彼らの本能だろう。

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