──日本のトイレはご飯が食べられるぐらい清潔で快適である、と。ほかに面白さや鑑賞のポイントは?
マリトモ:飲食店のトイレは、そのお店のすべてが表れているので、食べる前にトイレを見るといいですね。
私は10年間、各地のトイレを巡っていますけど、トイレを見れば、だいたいそのお店のモチベーションがわかります。トイレとコックさんや店員さんの心の持ちようは、気持ちいいほど比例しています。
福井県の越前海岸沿いにある日本食レストランのトイレは、7つのトイレが全部、庭園のような作りで美しい。料理はもちろんのこと、おもてなしもすばらしかったです。
名古屋の一風堂にはトヨタのエンジンが飾ってある
トイレには地域性やメッセージ性も表れていて面白いです。三ヶ日みかんが特産品の静岡県三ヶ日町にある公衆トイレは、外観がみかんの形をしています。
長野県の斑尾高原スキー場のトイレは、長野オリンピックのジャンプ台からの眺めの写真が四方八方に貼ってあって、「長野でオリンピックを開催した」と伝えています。
名古屋の一風堂さんのトイレには、名古屋と言えばトヨタ自動車ということで、輪切りにしたエンジンを壁一面に飾っています。地域の特性を、トイレを通して表現しているんです。
──トイレを取材する時、実際に用を足してみるのですか。
マリトモ:絶対にしますね。到着するまでに水分をいっぱい取って、便意がなくても出します。写真を撮るだけじゃなく、必ず。それは10年間、続けています。
──なかなか自在に出せないと思いますが、さすが“プロ”です。
マリトモ:トイレを語るには、やはり自ら身を投じないとわからない。どんなに汚いトイレでも、とりあえずまたがりますよ。
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