異例の判決、「ねずみ講」被害者は救われるか 最高裁が上位会員へ利益の返還を命令
いわゆる「ねずみ講」を運営していた会社「クインアッシュ」の破産管財人が、元上級会員に利益の返還を求めていた裁判の判決で、最高裁は10月下旬、元会員側に約2100万円の支払いを命じる判断を示した。ねずみ講の上位会員にも支払い責任があると最高裁が認めたのは、初めてとされる。
ねずみ講とは、他人を勧誘すれば利益が得られるとして参加者を募り、おカネを吸い上げていくシステムだ。運営組織と一部の上位会員には利益が集まるが、最下層の人はおカネを出すだけになる。最終的には必ず破たんし、大多数が損をするため、法律で禁止されている。
公平の観点から「評価できる」
下級審の判決によると、ソフト開発会社だった「クインアッシュ」は2010年、ブログを自動作成するシステムへの出資を募り、月々の配当金や、新規会員の勧誘料などを約束して、数千人から約25億円を集めた。同社は2011年に経営破たんし、破産管財人が、利益を得たと考えられる上位会員に対して利益の返還を求めていた。
今回、最高裁が利益の返還を命じたのは、どういった理屈からだろうか。今後は、この判決をきっかけに、「ねずみ講」被害者の救済が進むのだろうか。消費者被害にくわしい大村真司弁護士に聞いた。
「今回の最高裁判決は、『ねずみ講』の上位者の利得を、下位者に戻して、公平を図ることを念頭に置く内容です。被害者の救済のために、一定の評価ができるでしょう」
公平というのは、どういうことだろうか。