異例の判決、「ねずみ講」被害者は救われるか 最高裁が上位会員へ利益の返還を命令

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「『ねずみ講』は、個々の参加者が、『被害者としての側面』と『加害者としての側面』を持っているのが特徴です。というのも、個々の参加者は、おカネを支払わされるという意味では被害者ですが、下位の人を勧誘しておカネを集めたという意味では加害者ですからね。

みんな同じように利益と被害が同程度あるわけではなく、上位の人ほど下位の人からもらえる利益が大きく、下位の人ほど少なくなりますから、上位の人は収支がプラスになり、下位になるほど被害が多額になっていくわけです。

このように上位者に集中する利益から、下位者の被害を救済しようというのは、公平の観点から評価できるというわけです」

今回の判決が出たことで、「ねずみ講」の被害者の救済は進むだろうか。

救済効果は限定的?

「今回の判決は、個々の『下位者』が『上位者』に直接おカネを請求することを認める内容ではありません。いったん、破産管財人が『上位者』のおカネを受け取った後、そのおカネを被害者への配当に回すことで、間接的な被害救済を実現することにとどまります。

いちばんの加害者は『主催者』ですので、理想は主催者から被害者に、おカネが直接支払われることですが、判決の内容はそうしたものではありません」

同じような立場に置かれた人たちにとっては、それでも朗報なのだろうか?

「今回の判決は画期的ではありますが、被害者救済への効果は限定的です。なぜなら、まず現実問題として、『ねずみ講』を行っていた会社が破産手続に入ることが、例外的だからです。

さらに、利益の返還が実現しても、破産債権者は被害者だけとは限りません。また、支払いの優先順位も、配当より、破産管財人の報酬や、滞納税金などのほうが優先されます。

そうしたこともあって、被害者に対する配当額はあまり大きくはならないのが通常でしょう」

大村弁護士はこのように指摘していた。

大村 真司(おおむら・しんじ)弁護士
広島弁護士会所属。日弁連消費者問題対策委員会委員、広島弁護士会消費者委員会委員、弁護士業務改革委員会副委員長、国際交流委員会副委員長、子どもの権利委員会委員
事務所名:大村法律事務所

 

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