アップル決済、「中国進出」で拡がる沃野 ApplePayが次に狙う市場は中国?
前述の通り、アップルはApple Payを利用できる店舗と、利用の拡大に努めているため、Squareの対応はアップルにとって願ってもないことといえる。それだけに、2014年10月に登場したiPad Air 2とiPad mini 3にNFCが搭載されていなかったことは悔やまれる。
場合によっては、すでにSquareのレジ端末として使われているiPadを、iPad Air 2に切り替えるだけで、Apple Payに対応するSquareに変えることができたかもしれなかったからだ。
App Storeでの決済がUnionPayに対応
さて、Apple Payとは今のところ直接的には関係ないが、アップルは11月17日、中国最大手の銀行カードである「UnionPay」によるApp Storeでの決済が可能になったことを発表した。
UnionPayは、日本でも「中国銀聯」のステッカーを見かけるネットワークで、中国国内での認知度はほぼ100%に達し、発行枚数累計45億枚に上るデビットカードだ。米国ではDiscoverブランドと、日本では三井住友カード、三菱UFJニコス、イオンクレジットサービス、JCBと、それぞれ提携し、利用エリアを拡大している。
アップルは、中国国内メーカーのスマートフォンが支配している中国市場において、富裕層を中心にiPhoneを売り込んでいこうとしている。中国人のほぼ全員が所持しているとも言えるUnionPayにApp Storeが対応する事によって、iPhoneをより利用しやすくなるかもしれないが、端末価格が変化するわけではないので、この対応がすぐにiPhoneのマーケットシェアに影響を与えるとは考えにくい。
それ以上に、筆者が期待しているのは、Union PayのApp Store対応をきっかけとして、UnionPayがApple Payに利用する事ができるようになることだ。これは、米国のドラッグチェーン1つ、2つが非対応であることが吹き飛ぶほど、大きな可能性を秘めている。筆者は、Apple Payが米国の次に力点を置く市場は中国になるのではないか、と予測している。
米国ニューヨーク株式市場で華々しく上場を飾った中国最大のオンラインコマース「アリババ」のジャックマー会長は、ティムクック氏も出演したWall Street Journalのイベントで、Apple Payへの関心を示している。アリババはオンライン決済サービスAlipayを有しており、どのような組み合わせ方を想定しているか、興味深い。
ホリデーシーズンで期待される数字とは
Apple Payを日常生活で利用していると、店頭のモバイル決済のほか、Uberの支払い、レストラン予約のOpen Tableでの飲食代支払い、テイクアウト商品の事前注文ができるOrder Aheadなど、アプリ内決済でも使う場面によく出くわすようになった。クレジットカードを財布から取り出さない、という使い勝手は、オンラインショッピングでも非常に有効であることがわかる。
感謝祭後のブラックフライデーからクリスマスまで、消費が伸びる年末、アップルはApple Payに関して、どんな数字を披露することができるのだろうか。既にアクティベーション数が、サービス開始後72時間で100万件という数字は発表している
。アクティベーションの数字で言えば、この10倍の1000万件はひとつのベンチマークとなるだろう。
また、ほかの調査でも平均購買価格が高いことがわかっているが、1日の決済金額の瞬間風速の数字にも注目していきたい。
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