新庄BIGBOSSが相手チームを「挑発」する納得の訳 その言動は単に奇抜なものではなく示唆に富む

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BIGBOSSは監督就任会見で、「『プロ野球を変えていきたい』という気持ちで帰ってきました」「コロナという時代で、ファンが球場に足を運べなかったので、ちょっと暗かったような印象はあります」などと語っていました。

3月に入ってなおコロナ禍のニュースは減らないうえに、ロシアによるウクライナ侵攻も1カ月になり、日本各地で地震が頻発。ネットもテレビも暗い話題が多くを占めるような状態が続く中、「人の笑顔が原動力」と公言しているBIGBOSSは、「少しでも笑顔になってもらいたい」と考えていたように見えるのです。

幸いというべきか、インスタグラムの投稿を見た西日本スポーツも、「西スポ紙面で遊んでいただきありがとうございます!」などと好意的に反応。柳田選手も前述したコメントのほか「面白いですね」と語るなど、その明るさの裏にある思いを汲み取っているように見えました。

また、BIGBOSSがこれまで先輩選手たちに接していたときの態度を踏まえると、投稿前に藤本監督へ連絡を入れていたか、福岡ドームで顔を合わせたときなどに詫びているなどの可能性もあるのではないでしょうか。

しかし、BIGBOSSは決して明るいだけの人ではなく、監督として発信を続けることで、苦悩も抱えはじめていたのです。

知られざる苦悩と「最初」の重視

BIGBOSSのリーダーとしての強みは、思いつきのように見えていても、実は理に叶った行動を優先していること。事実、監督就任の話が来る前からファームの試合などを観戦し、就任が決まってからも他競技の指導者やビジネスパーソンなどからコーチングを学んでいました。

長期的かつ利他的な視野を持ち、「目的を達成するためなら、自分個人が短期的に叩かれることを恐れない」という意思があるからこそ、挑発とみなされない言動を行っているのでしょう。

ところが、BIGBOSSは19日に放送された「バース・デイ」(TBS系列)で、「そりゃあ1人になったときは常に苦しいですよ。お風呂入ってても、まずは野球のこと考えて、ファンのこと考えて、プロ野球のこと考えて、球団の本社のことも考えて。実はここ4日間くらい胃がおかしいんです」「今まで胃がおかしくなったことはなかったんだけど、発信したことに対してプレッシャーなんでしょうね」などと語っていました。

さらに、「アンチもいっぱいいます。僕のところにもいっぱいきますよ。『ふざけんな』『監督らしくしろって』」などと語っていましたが、今後もBIGBOSSは批判を浴びながらも、笑顔の裏で苦しみながらも発信を続けていくでしょう。

そして、BIGBOSSが開幕直前に挑発的な言動を続けた理由として、もう1つ挙げておきたいのが、「最初の印象が肝心」というインパクト戦略。これまでの発信を振り返ると、戦略性の高いものから、ほぼ話題作りのものまで、「何を仕掛けてくるかわからない」という印象を相手チームとファンに与えているように見えるのです。

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