ヨーロッパで再び「感染拡大」が意味すること 暴れ始めたオミクロン亜種にアメリカは警戒

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ファウチ氏は「注意深く状況を監視する必要がある」と述べた。

アメリカではオミクロン株による冬の感染の波が収束したことから、3月頭までに50州すべてで屋内における一律のマスク着用義務が解除された。ニューヨーク・タイムズのデータベースによると、アメリカの感染者数はそれ以降も減少を続け、3月中旬には昨年夏以来の水準にまで低下してきている。

とはいえ、アメリカの感染動向はパンデミックが始まってから一貫して、ヨーロッパを2〜3週間遅れで追いかけてきた。アメリカの下水から検出されるウイルス量にも、すでに新たな感染増加の兆候が現れるようになっている。

アメリカ全土で698カ所の下水道施設を調査している疾病対策センター(CDC)の下水道データトラッカーによると、稼働中の下水サンプリング施設の約38%で2月26日から3月12日にかけてウイルス量が増加したことが報告されている。

コロンビア大学のワッファ・エルサーダ教授(疫学・医学)はこれについて、警戒すべきだという信号を発しているデータだと話した。

アメリカで流行しているオミクロン株はなおBA.1が主流だが、BA.2は感染力が一段と強く、急速に広がっている。だからこそ、追加接種を含めたワクチン接種が大切だとエルサーダ氏は語った。「それが、次に来るものから私たちを守ってくれるだろう」。

CDCの推計によると、BA.2による感染はアメリカではごく一部とはいえ、その割合は増加傾向にある。BA.2がアメリカでどれほどの感染拡大を引き起こすかは、人々の免疫獲得状況やこの亜種の感染力など、さまざまな要素に左右される。

BA.2を解き放つ規制解除と誤情報

世界保健機関(WHO)でコロナ対策の技術責任者を務めるマリア・バンケルコフ氏は、このところアジアとヨーロッパを中心に世界の感染が増加しているのはBA.2だけが原因ではないと指摘した。コロナ関連規制の解除、ワクチン忌避、誤情報といった要素も感染の増加につながっているというわけだ。

「膨大な量の誤情報が出回っている」。バンケルコフ氏は16日の記者会見でこう述べた。「オミクロン株は症状が軽いという誤情報に、パンデミックは終わったという誤情報。これが最後の変異株になるといった誤情報も出ている」。

(執筆:Alyssa Lukpat記者)
(C)2022 The New York Times News Services

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