ヨーロッパで再び「感染拡大」が意味すること 暴れ始めたオミクロン亜種にアメリカは警戒
ヨーロッパで新型コロナウイルスの感染を急拡大させているオミクロン株の亜種により、アメリカにも新たな感染の波が迫っている可能性があると専門家が警告するようになっている。まだ危険視する状況になっているわけではないが、警戒すべき状況にあるということだ。
オミクロン株は3月に入り、ヨーロッパ全土で2度目の感染拡大を引き起こしている。ヨーロッパの感染拡大はこれまで、アメリカの感染拡大の前触れとなってきた。感染の最悪期を脱したと考えた多くの国々は2月から3月にかけて競うようにコロナ関連規制を解除したが、感染力の極めて高いオミクロン株の亜種BA.2が新たな感染の増加をもたらしている。
国際統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」によると、オーストリア、イギリス、オランダなど一部の国々ではコロナ患者数が増加傾向にあるものの、ヨーロッパではまだ入院患者の幅広い増加につながっているわけではない。BA.2はまた、従来のオミクロン株BA.1と比べて重症化リスクが高まったとはみられておらず、既存のワクチンも対策として有効だ。
ドイツなどの感染は再び記録的水準に
ドイツやオーストリアなどでは感染者数が再び記録的な水準に近づきつつあるか、すでにそうした水準を上回っている。3月に入り感染が再び増加し始めた段階で、ヨーロッパの人口当たり感染者数はすでに世界のどの地域よりもはるかに高い水準にあった。
ヨーロッパの人口10万人当たりの感染者数は3月3日の87人で底を打ち、今では95人を数えるようになっている。これに対し、アメリカとカナダの10万人当たり感染者数は、ニューヨーク・タイムズのデータベースによると10人にとどまっている。
アメリカ政府のアンソニー・ファウチ首席医療顧問は17日、政治専門メディア「ポリティコ」に対し、ヨーロッパの感染急増について次のように語った。「少なくとも、わが国でも似たような状況となる可能性に備えておく必要がある。多少の違いはあるだろうが、違いはつねにあるものだ」。