日産「フェアレディZ」が50年以上愛される理由 初代から新型まで、歴代モデルに見る変遷記

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初代S30型フェアレディZのリアビュー(筆者撮影)
初代S30型フェアレディZのリヤビュー(筆者撮影)

国内外で販売されたS30型だが、国内仕様車に搭載するエンジンは、排気量2.0LのL20型水冷直列6気筒SOHC(シングル・オーバーヘッド・カムシャフト)で、最高出力は130ps(のちに2.4Lなど排気量アップ仕様も存在)。軽量なモノコックボディやストラット式4輪独立懸架の前後サスペンションなど、当時の日産が持つ最先端のコンポーネンツを搭載することで、ライバルの欧州メーカー製スポーツカーに負けない高性能ぶりを発揮した。加えて、「ポルシェ911の3分の1」といわれたほどのロープライスも実現することで、北米市場だけでなく、世界中でベストセラーとなり、販売台数の累計54万台という大ヒットモデルとなった。

1970年式のダットサン240Z(筆者撮影)
1970年式のダットサン240Z(筆者撮影)

なお会場には、初代S30型のとなりに、北米向け仕様の「ダットサン240Z(展示車は1970年式)」も展示されていた。このモデルは、排気量を2.4Lにアップした6気筒エンジンを搭載し、トルクなどを太らせた仕様だ。モデル名のダットサン(DATSUN)は、当時、日産が国内外で使用していたブランド名で、北米など海外では「NISSAN(日産)」よりも広く知られていたほど有名だった。現在は、新興国向けのみで展開しており、国内はもちろん、北米などでも使用していない。だが、例えば、北米で人気が高いピックアップトラックなど、古い日産車で名車と呼ばれる車種には、ダットサンの名称を持つクルマも数多い。その意味で、ダットサン240Zの大ヒットは、「ダットサン」という日産のブランド名を世界中に広めることにも貢献したといえるだろう。

2代目S130型フェアレディ280Z

2代目にあたるS130型フェアレディZ(筆者撮影)
2代目にあたるS130型フェアレディZ(筆者撮影)

1978年のモデルチェンジにより登場したのが、2代目のS130型だ。先代S30型のイメージを引き継ぎつつも、より時代にマッチした洗練されたフォルムに生まれ変わった。大きな特徴は、よりきびしくなった排ガス規制(昭和53年度排出ガス規制)に対応させたこと。排ガス規制への対応は性能低減もまねくが、S130型では、従来からの2.0L仕様に加え、排気量を2.8Lにアップした仕様も設定することでこれに対応。今回展示されたモデルがそれで(展示車両は1980年式)、2.0L仕様と区別するため「フェアレディ280Z」と呼ばれた。

S130型フェアレディZのリヤビュー(筆者撮影)
S130型フェアレディZのリヤビュー(筆者撮影)

なお、S130型では、当時の北米安全基準にもとづいたコーナーラバー付き衝撃吸収式大型バンパー、通称「5マイルバンパー」を2.8L系全車に装備した。また、のちにフェアレディZのオープン仕様車の代名詞となるTバールーフ車も設定された。これは、ルーフパネルの中央を細く残し、左右ルーフが取り外し可能な構造のオープンカーのこと。この仕様の登場で、フェアレディZは、よりスペシャリティカー的な要素を持つモデルとしての地位も確立する。

3代目Z31型フェアレディZ

3代目となるZ31型フェアレディZ(筆者撮影)
3代目となるZ31型フェアレディZ(筆者撮影)

1983年にデビューしたのが3代目のZ31型だ。このモデルは、1980年代に生産された国産スポーツカーのキーワードともいえる「ターボチャージャー」や「ワイドボディ」が特徴的(ターボ車自体は2代目の後期型などにも存在)。また、前照灯を車体内に格納できる「リトラクタブル・ヘッドライト」を装備していたことも大きな特徴だ。搭載エンジンには、排気量の異なる2.0L仕様と3.0L仕様を用意し、ターボ搭載により当時としてはトップレベルの高出力を誇った(輸出仕様には3.0Lの自然吸気エンジンも設定)。また、エンジン形式も、それまでの直列6気筒からV型6気筒へ変更された(のちに2.0Lは直列6気筒ターボに変更)。

Z31型フェアレディZのTバールーフ(筆者撮影)
Z31型フェアレディZのTバールーフ(筆者撮影)

なお、今回展示された車両は、1986年のビッグマイナーチェンジで新設されたグレード「300ZR」(展示車両は1989年式)だ。Z31型のフラッグシップとして登場した当モデルの大きな特徴は、DOHC(ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト)仕様の3.0L・V型6気筒エンジン(自然吸気)を搭載したこと。吸気弁と排気弁を別々のカムシャフトで開閉することで、高い燃焼効率とハイパワー化を実現するのがDOHCだ。今では当たり前となった機構だが、当時はSOHCエンジンが主流で、ハイグレードな仕様にしか搭載されなかった特別なシステムで、Z31型でも300ZRだけが採用を許された。ちなみに展示車両はTバールーフ車で、高い走行性能に加え、オープンカーならではの高級感や爽快感も演出する。

4代目Z32型フェアレディZ

4代目となるZ32型フェアレディZ(筆者撮影)
4代目となるZ32型フェアレディZ(筆者撮影)

4代目となるZ32型が登場したのは1989年(展示車両は1999年式)。まさにバブル景気の絶頂期で、高価な高性能スポーツカーや高級セダンが飛ぶように売れていた時代だ。Z32型は、トヨタ「スープラ(1986年発売のA70型)」など、当時のライバル車を打ち破るべく、先代モデルまで継承してきたロングノーズ・ショートデッキというスタイルを変更。ワイド&ロー(幅広くて低い)なボディによる理想的な重量配分を追求することで、スタイルとパフォーマンスの両方で完璧なマシン作りを目指したモデルだ。

搭載するエンジンは、3.0L・V型6気筒で、自然吸気のVG30DE型のほか、新たにツインターボチャージャーを採用したVG30DETT型エンジン搭載車も設定した。

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