ドワンゴ川上会長、「非リアは脳の問題です」 「ネットが生んだ文化」とは何か

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山田: 4つのキーワードについて、それぞれの意味と今後の見通しについて伺います。まず「非リア(実生活が充実していないこと)」です。

川上 量生(かわかみ・のぶお)●1968年生まれ。京都大学工学部を卒業後、コンピュータの知識を生かしてソフトウェア専門商社に入社。同社倒産後、1997年、PC通信対戦ゲームのシステム開発会社として株式会社ドワンゴを設立。2000年から代表取締役会長。携帯ゲームや着メロなど人気サービスを次々と手がける。2004年東証一部上場。2006年には子会社ニワンゴにて動画共有サービス「ニコニコ動画」を開始、多くの人気作品がここから生まれた。2014年株式会社KADOKAWA・DWANGO会長に就任。著書に『ルールを変える思考法』(KADOKAWA)ほか。

川上: ネットを理解する上では、非リアという概念は非常に重要です。そう考えて、キーワードに選びました。

非リアとは何かというと、完全なイコールではないのですが、世間の人がみる、オタクのことです。オタクの人たちがどういう考えを持っているか、どういう気持ちで生きているかを理解するのに、非リアという表現は、とても便利なのです。

非リアとはコミュニケーション能力が低い人のことです。別の言い方でコミュ障(=コミュニケーション障害)ともいいます。つまり、非リア=コミュ障でもあるのです。

コミュニケーション能力がある人とない人との違いは何かというと、僕は脳の問題だと思っています。現代人は膨大な情報の洪水の中で生きている。一方、脳は有限です。情報が少なかった原始時代において、脳は何のためにあったのかと言えば、コミュニケーションのためにあったわけです。つまり群れの中で生きていくために脳があって、そこで言語能力を発達させていったのでしょう。

ところが、その有限な領域を、情報の海の中で生きている現代人は様々な情報処理に使うようになった。その中で特定の趣味に生きるオタクたちというのは、脳内におけるコミュニケーション能力のための部分がすごく狭くなってしまった。それでコミュニケーションが苦手なのだと僕は解釈しています。

脳を何にどれだけ使っているかの違い

山田: 脳内のメモリは共通だから、専用機能が強化されて、汎用の領域がなくなっちゃうわけですね。

川上: そうです。有限ですから、そうなってしまいますよね。要するにオタクのコミュニケーション能力が低いというのは、コミュニケーションに使っている脳が狭いからなのです。おそらく、昔からこういう人たちはいたと思います。なにかにとびきり秀でた人たち、たとえば優れた学者はコミュニケーション能力用の脳を犠牲にして優れた能力を発揮した。コミュニケーション能力のある、人付き合いのいい社交的な学者は、たいした業績も残していないはずだ、と僕は勝手に思っているんですよ。

脳の大部分を研究に使っているような人は、必ずコミュニケーション能力に欠陥があったはずです。これ自体は昔からあったことでしょうね。

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