勝ち続けるソフトバンクの“離れる戦略” 卸、ケータイ、ロボット…コア事業を変える

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寂しさや苦しみを乗り越えて、古い恋を手離す2つの場合があります。ひとつは現状の関係がすでに破綻して、修復不可能となったとき。もうひとつは、現状の恋では自分の理想とする人生がかなわない、自分の成長もできないと悟ったときです。

逆に、古い恋を手離せないときは、ふたりの関係が不満ながら破綻するほどではなく、自分自身にも具体的な理想や目標がないときです。これは売り上げや利益がまったく伸びず、しかし日々、なんとか食べてけるビジネスに似ています。生活していける、という状態以上の目標や理想がなければ、人も企業もこの状態にとどまることが多いのです。

したがって現状から離れるためには、極端な危機か、現状に安穏とさせない大きな目標や理想が必要なのです。

離れるために、牽引してくれる目標が不可欠

ビジネスでも人生でも、本格的な危機を迎える前に離れる戦略を実行できるほうが当然、有利です。孫正義氏は、離れる戦略の実行に不可欠な大胆な目標設定において、ずば抜けた能力を持っている人物です。

【孫社長が掲げてきた大胆な目標】

○社員2人の創業期に「やがて売り上げを1兆円2兆円とするような企業を創る目標」
○2010年の「新30年ビジョン」で、30年後までの時価総額200兆円、世界トップ10

上記のような強烈な目標を掲げ、達成するたびにより遠大な目標に切り替えていますが、自社にぬるま湯の状態から離れさせ、新たな進歩を促進するためだと推測できます。売り上げ目標が兆の単位であれば、ソフト流通業の成功だけで満足するわけにはいきません。

世界的なベストセラーとなった書籍『ビジョナリー・カンパニー』(ジェームズ・C・コリンズ、 ジェリー・I・ポラス著)は、時代を超え際立った存在であり続ける企業の特徴が分析されています。その特徴のひとつに、永続する企業は「大胆な目標を定期的に掲げる」というものがあります。書籍内ではBig Hairy Audacious Goal(BHAG=ビハーグ)と呼ばれていますが、驚くほど大胆な目標を掲げて、進歩を促す強力な仕組みとして活用しているのです。

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