「アウトランダーPHEV」試乗で見た最新進化の神髄 外観はワイルド、滑らかで安定した走りが自在に

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新型アウトランダーPHEVの急速充電時間(80%充電)は、2次バッテリー容量の増加(13.8kWh→20.0kWh)により従来型から8分増えたが、充電容量は従来型の最大60Aから最大105Aに向上しているため時間当たりの充電量は増加している。

2013年1月に登場したアウトランダーPHEVは、世界初のPHEVシステムを搭載したSUVだった。以降、PHEVシステムの改良や2次バッテリー容量の拡大(12.0kWh→13.8kWh)、搭載エンジン排気量の拡大(2.0L→2.4L)、改良などを繰り返しながら、60カ国以上の市場において累計29万台販売された(三菱自動車・広報部発表、2021年9月末時点)。

路面環境によらない安定した走行性能

アウトランダーPHEVは、前輪と後輪をそれぞれ専用モーターで駆動するツインモーター仕様の4輪駆動方式を採用し、三菱が誇る車両運動統合システムである「S-AWC」を組み合わせることで路面環境によらない安定した走行性能が特徴だ。

新型は従来型の特徴をそのままに、前/後輪の駆動モーターの出力を向上させ、S-AWCの精度向上と7つのドライブモードによってメリハリのある運転がさらに楽しめるようにした。

同時に、2次バッテリーの容量を20kWhへと増やしたことで、エンジンを停止させたEV走行可能距離は最大で87km(WLTC値)まで延びた。また、従来型のアウトランダーPHEVモデルには用意のなかった3列7人乗りが「P」と「G」の両グレードに設定されている点も新型のトピックだ。

発電と駆動を受け持つ直列4気筒2.4Lエンジン

この先は、世界の多くの市場において電動化車両が注目を浴びる。このうち日本市場では、トヨタとSUBARUの共同開発車で兄弟車のBEV、トヨタ「bZ4X」とSUBARU「ソルテラ」が2022年央に発売される。また、欧州市場で3月8日(現地)に発表となったマツダのSUV「CX-60」はマツダ初のPHEVシステムを直列4気筒2.5Lエンジンと組み合わせた。これも日本仕様の発売が待たれる。

本稿に続くレポートでは、bZ4Xのプロトタイプをサーキットで、ソルテラのプロトタイプを雪上コースでそれぞれ試乗した様子や、シリーズHVの「e:HEV」+「リアルタイム4WD」のホンダ「CR-V」、クリーンディーゼルの立役者であり、2021年12月に商品改良を行ったマツダ「CX-5」の一般道路における雪道性能をじっくりと紹介したい。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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