あのHuluが若手クリエーター発掘に力を注ぐ背景 オリジナルコンテンツを拡充させたい目論みも

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日本のHuluを運営するHJホールディングスの於保浩之社長は、「われわれがHulu事業を引き継いだのは2014年。その頃はまだNetflixさんも、日本ではサービスを行っていなかったですし、ライバルも少なかった。だが今はどんどんライバルは増えており、レッドオーシャンであることは間違いない。そういう意味で必ずしもトップでなければならないというわけではないが、それでも国内トップ3の中には必ず入っていたいというのがわれわれの考え方だ」と語る。

於保 浩之(おほ ひろゆき) 1962年生まれ。1985年、日本テレビ放送網に入社。営業局、スポーツ局、人事局、編成局制作推進部、社長室企画部などに勤務。Hulu日本事業の買収を担当し、2014年からHJホールディングス勤務。2017年4月、HJホールディングス社長に就任 (撮影:尾形文繁)

「鬼滅の刃」「呪術廻戦」といった人気作品は今、多くの動画配信サービスで観ることができる。視聴者に選ばれるサービスとなるためには、そうした人気作品をラインナップに加えることはもちろんのこと、それ以外の独自のオリジナルコンテンツでいかに差別化を図るかが重要となる。Huluでも、ゾンビサバイバルドラマ「君と世界が終わる日に」や、日欧共同製作ドラマ「THE HEAD」など意欲的なオリジナル作品が続々と配信されている。

さらに今後もヨーロッパ各国の主要放送局とHulu Japanが共同製作を行う大型国際プロジェクト「THE SWARM(ザ・スウォーム)」などもHuluで独占配信する予定だ。「ライセンスコンテンツはやはり他社に影響を受けることもあり、オリジナルコンテンツに力を入れていかないといけない。うちも予算の配分を含めてどんどんオリジナルを強化するようにしている。例えば共同製作となる『THE SWARM(ザ・スウォーム)』は、ビジネスの取り組み、出演者の取り組みなども含めて、企画の段階から一緒に進めている。こういった取り組みは今後もやっていきたい」(於保社長)。

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭もサポート

コンテンツビジネスでは、将来を見据えた新人クリエーターの発掘・育成が重要になる。Huluも2年前から若手クリエーターの登竜門的映画祭として知られる「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」をサポートしている。1990年に始まった同映画祭からは、山下敦弘、吉田恵輔、真利子哲也、入江悠ら、現在の日本映画界を支える監督が次々と輩出されてきた。

だが、2007年には夕張市の財政破綻による休止。さらに会場となっていた市民会館が老朽化のために閉鎖。市内の宿泊施設を運営していた夕張リゾートの破産。そして冬の名物詩だった同映画祭を夏開催へとシフトチェンジしようとしていた矢先のコロナ禍など、次々とピンチに見舞われ、満身創痍(そうい)となっていたが、それでも同映画祭を愛する映画人、映画ファンなどのサポートによって何とか現在まで続いてきた。

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