家族の対話で「ケンカする」「仲良くなる」家庭の差 家族での対話を楽しんでいる家庭の共通点

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これまで連載を通して、多くの家庭の家族会議を取材してきて気づいたことは、まず「テーマがおもしろい」ということ。通常の会社で行われる会議とは違い、家族会議はむしろあえて議題に真っ向から向き合わず、その周辺のことについてあーだこーだと楽しく話すのが、うまくいくコツなのだ。

例えば先ほどのような課題を、子どもでも興味が持てそうな視点に変換してみるとどうか。

・きょうだいげんかを止めるには→・けんかに勝ったらどんな気持ち?
・家事をもっと分担してほしい→・家族がしてくれて嬉しいこと発表
・子ども部屋の片づけについて→・大事なものはなぜなくなるのか?!
・朝の準備を早くするには  →・忘れ物をして上手に乗り切る方法
・ゲームの制限時間やルール →・何かにハマっている自慢
・夫の帰りが遅すぎる件   →・パパが早く帰ってこれたらみんなで何をしたい?

などなど。もちろん上記の例でなくてもいいのだが、「困ったこと」「問題」と感じていることを直球で話し合うのではなく、遊び感覚で、大人も子どもも気軽に話せるようなテーマに設定しなおしてみることをおすすめする。

議題はあくまで対話のきっかけ

大人だってときには自分の失敗談を話せば、子どもが解決策を提案してくれるかもしれない。ゲームに夢中になる理由を詳しく聞けば、大人には思いつかない発想やアイデアが聞けるかもしれない。不在がちな父親と過ごすひとときを、子どもがどんなに楽しみにしているかが聞けるかもしれない。

議題はあくまで対話のきっかけだ。脱線しながら話を聞いていくと、家庭での問題解決以上に、家族それぞれがもつ多くの思いや考えが聞ける。どんなに幼い子も、普段無口な子も、確かに持っている豊かな感情がだんだん表現されていくようになる。

家族会議の初心者なら、議題は「週末にしたいこと」や「次の旅行先の計画」など、簡単なものでもかまわない。ただし、親が先回りして決めるのではなく、子どもたちが本当に行きたい場所やしたいことを聞きだすのがいい。大人は海外旅行を考えていたけど、案外子どもは近場で砂遊びをしたいと言いだすかもしれない。

普段、どちらかというと親主導で予定を決めている家庭なら、子どもの小さな願いを聞いて、叶えてあげられたら、そこから、子どもからの発言は爆発的に増えていくはずだ。

次ページ怒らないで「聞く」を徹底する。
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