堀内ワクチン担当相に「3月末解任論」浮上の裏側 「岸田派のプリンセス」への“論功人事"が仇に

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岸田首相にとって、党総務会長も務めた堀内光雄氏は、宏池会領袖の先輩だ。しかも、鈴木財務相の父の善幸元首相が宏池会領袖時代には、光雄氏が最側近だった。このため、堀内氏の存在が、「総裁選での麻生派との連携強化にもつながった」(岸田派幹部)のは間違いない。

岸田首相は総裁選で、女性閣僚の積極起用を公約していた。ただ、人選が始まると、「適任者が限られ、どのポストに充てるかでも悩んでいた」(岸田派幹部)とされる。側近によると、一時は閣僚としての任期が期限付きの五輪担当については、経験者で安倍晋三元首相側近の丸川珠代氏を充てる案も浮上したとされる。

しかし、岸田首相は熟慮の末、自らの側近の堀内氏抜擢に踏み切った。総裁選での貢献だけでなく、同氏の真面目さへの評価なども理由とされた。ただ、五輪担当相だけでは途中退任が前提となるため、「ワクチン担当を兼務させることで、箔をつけたのが真相」(自民長老)とみられている。

「結果的に大失敗だった」との声も

その配慮が、その後のオミクロン株による感染爆発の際に「岸田首相がワクチン接種を軽視していた証拠」(自民長老)との疑念が拡大する原因となった。岸田首相周辺からも「土壇場で決まった人事だが、結果的に大失敗だった」と悔やむ声が漏れてくる。

オミクロン株感染拡大阻止での最大のポイントとされた高齢者への3回目ワクチン接種は、2月末までの接種率が当初目標の半分程度にとどまり、「オミクロン対策ではまったく間に合わなかった」(感染症専門家)ことは間違いない。堀内氏の力量不足だけが理由とまではいえないが、前任の河野太郎党広報本部長の突破力や発信力に比べれば、「ワクチン担当としてほとんど機能しなかった」(自民幹部)ことは否定しようがない。

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