堀内ワクチン担当相に「3月末解任論」浮上の裏側 「岸田派のプリンセス」への“論功人事"が仇に

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そこで注目されるのは堀内氏の政治経歴。堀内氏は2012年衆院選の山梨2区で初当選し、現在4期目。岸田首相は自民総裁選勝利を受けた10月4日の組閣で、同じ当選4回組の小林鷹之経済安保担当相、牧島かれんデジタル担当相と堀内氏の3氏を「若手起用」による目玉人事と位置付けた。

ただ、実務能力を買われたとされる小林、牧島両氏と違い、堀内氏については「お飾りの女性大臣」(自民幹部)と揶揄する向きが多かった。「初当選時から岸田首相のお気に入りで、自民党内で1、2位を維持する党員獲得数で、総裁選の地方票獲得に大きく貢献したことが、抜擢の理由」(同)と見えたからだ。

父方の祖父は財界四天王、母方の祖先は大久保利通

政界では「堀内氏は超上流階級の出身」(同)としても有名だ。父方の祖父は日本開発銀行総裁などを務めて「財界四天王」と呼ばれた小林中氏(故人)。さらに母方の祖先は明治の元勲・大久保利通で、麻生太郎・副総裁とも縁戚関係という華麗な家系の持ち主。

さらに、堀内氏自身も幼稚園から大学院まで皇室とも関係が深い学習院で学んだ。大学時代は秋篠宮皇嗣殿下の同期生で、当時皇太子だった現天皇陛下のお妃候補として名前が挙がったこともある。

そんな「究極のお嬢様」が政界入りしたのは、義父の堀内光雄元通産相(故人)の政界引退に際し、地元後援会が、光雄氏の選挙応援で奮闘した堀内氏を後継者に強く推し、堀内氏もこれに応えたためだ。夫で富士急行社長の堀内光一郎氏の名も挙がったが、地元最有力企業の経営トップでもあり、光雄氏も後継指名を避けたとされる。

こうして、東証1部上場企業の社長夫人から、政治家に転身した堀内氏に対する自民党内での評判は必ずしも悪くはない。「真面目な努力家で偉ぶらない人柄。誰にも好感を持たれる女性政治家」(自民幹部)との評価が多く、総裁選でも岸田氏の推薦人に名を連ね、告示の際は、麻生派最高幹部の鈴木俊一氏(財務相)と共同での届け出人となったことで、一部では「岸田派のプリンセス」(同)とも呼ばれるようになった。

次ページ総裁選での岸田・麻生派連携の仲介役に
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