SMBC日興証券の役員ら4人が金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で逮捕されたことを受け、機関投資家である一部の大手生命保険会社が同証券との取引見直しに動き出したことが分かった。
複数の関係者によると、少なくとも日本の大手生命保険会社3社が今週に入り、SMBC日興への株式や債券など全ての有価証券の取引に関する新規注文を停止した。
取引を見直した生保の関係者は、SMBC日興が記者会見で管理体制に不備があった可能性を認めたことから、新規注文の停止を決めたと語った。また、別の生保の関係者は、SMBC日興に対する法的責任が追及されるのかや再発防止策の動向を確認する必要があるとして、取引再開には時間がかかる可能性があるとの認識を示した。
SMBC日興の広報担当者は、個別の取引についてはコメントを控えると述べた。
ブルームバーグ・インテリジェンスの田村晋一シニアアナリストらは8日付の投資家向けリポートで、SMBC日興に対して今後金融当局から業務改善命令などの行政処分が出た場合には「株式関連の主幹事候補からの排除、国内機関投資家からの一定期間の発注停止、案件減少によるリテール業務の業績低下などが発生する可能性が高い」と指摘。今後の動向によっては、事業への影響が拡大する可能性もある。
東京地検やSMBC日興の発表によると、逮捕されたのはエクイティ本部本部長だった専務執行役員のトレボー・ヒル容疑者ら。上場企業の大株主らから保有株式をまとめて買い取り、投資家に転売する「ブロックオファー」と呼ばれる取引で、特定銘柄の株価を不正に維持したとされる。
逮捕翌日の5日に記者会見したSMBC日興の近藤雄一郎社長は、社内規定で定められた報告義務が守られていなかったことや、売買取引の審査において社内管理体制が十分でなかった可能性があるなどと述べた。
今回の事件を巡っては、昨年11月にSMBC日興が証券取引等監視委員会の調査を受けていることを明らかにした。その後、社債の引き受け主幹事から同証券を外す動きが相次ぐなど、すでに事業への影響は出ていた。大阪大学が発行を予定しているSDGs債の主幹事からSMBC日興が外れたこともきょう分かった。
(取引を停止した生保の数を更新したほか、5段落目を追加するなどして記事を更新します)
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著者:浦中大我
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