「サッポロ一番」が圧倒的に愛され続ける納得の訳 袋麺で不動の首位、洗練より無性に食べたくなる味

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2001年「サッポロ一番 みそラーメン」CMでも、野菜を入れる訴求を行った(写真:サンヨー食品)

昭和時代に発売されて、平成、令和と人気を維持してきた「サッポロ一番」だが、激戦区の袋麺市場では強敵が出現したこともある。

1981(昭和56)年に登場したのが「中華三昧」(明星食品)だ。「本格中華」を掲げ、当時で1食120円。高級感を打ち出し、袋麺のイメージを変えるパッケージや味わいでセンセーションを巻き起こした。

2011(平成23)年には「マルちゃん正麺」(東洋水産)が登場した。生の麺を再現したような味わいが受けて大ヒットとなり、発売10年で累計販売数は19億食を突破した。

カップ麺では「カップヌードル」(日清食品、1971年発売)という巨大ブランドがある。グローバルでも展開し、2021年には「世界累計販売500億食」を突破した。

全体に占める割合は、「カップ麺66%:袋麺31%:生タイプ0.3%」(2020年度、日本即席食品工業協会)だが、カップ麺が袋麺を抜いたのは平成元年=1989年だった。

「『カップヌードル』に代表されるように、お湯を注げば、勝手に調理してくれる。食べた後の食器や鍋洗いなども不要。この簡便さが袋麺との価格差を超えて支持された」と話す業界関係者もいる。ちなみに袋麺の総生産量ピークは1972年と半世紀も前だ。

カップ麺も袋麺も「激辛」人気が続く

カップ麺に比べて、袋麺は5割弱の生産量だが、それでも年間「約18億6451万食」(2020年度、日本即席食品工業協会)も生産される。消費者嗜好の変化を踏まえて、さまざまな味で訴求。近年目立つのは辛口の味だ。

2017年ごろから「マー活」と呼ぶブームが起き、麻(マー)のしびれるような辛さを楽しむ消費者が増えた。カップ麺も「蒙古タンメン中本」(セブンプレミアム)のような激辛が人気だ。

袋麺では「宮崎辛麺」(響)を楽しむ人もいる。「平日の在宅勤務の昼食に、子どもと一緒の時は食べられない刺激のある味を選ぶことも多いです」(30代の会社員男性)。

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