「サッポロ一番」が圧倒的に愛され続ける納得の訳 袋麺で不動の首位、洗練より無性に食べたくなる味

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2018年にリニューアルされて人気の「サッポロ一番 みそラーメン 旨辛」(写真:サンヨー食品)

「サッポロ一番」でも派生商品で『サッポロ一番 みそラーメン 旨辛』が発売されている。今回「サッポロ一番の中で、これがいちばんおいしい」(20代男性)という声も聞いた。

前述の「みそラーメン」「塩らーめん」でも“ちょい足し”では、「圧倒的にラー油が多く、みそラーメンにはコチュジャンを入れる人も目立ちます」(水谷さん)という。20代~30代を中心に、何かを足して刺激を求める消費者は多いようだ。

「消費者は変化するが、人間の本質は変わらない」

こうしてインスタントラーメンと向き合って、思い出した言葉がある。

「消費者はどんどん変化するが、人間の本質はそんなに変わらない」という言葉だ。

生活文化の視点を加えると「高度成長期に定着した飲食は強い」とも思う。即席麺で最強の「カップヌードル」(1971年)、袋麺の2強「サッポロ一番 みそラーメン」(1968年)、「サッポロ一番 塩らーめん」(1971年)はいずれも昭和40年代の発売。半世紀超も人気が続く。

この時代から消費者の食生活が洋風化されたり、レトルト食品などの登場で簡便化されたりしていき、上の世代にはなかった飲食を楽しむようになった。それが続いているのだ。

即席麺好きな人からは「あのチープ感がいい」(30代の会社員女性)という声も聞いた。「無性に食べたくなる」と話す人も多い。

「サッポロ一番」の開発を陣頭指揮した井田毅氏(サンヨー食品創業者、前社長)は、「美味しすぎるものは飽きる」と話していた。同社社内には、「サッポロ一番 みそラーメン」の最終決定の試食時に、井田氏が「試作品の中からいちばん美味しいものをあえて外した」という逸話が残る。

味を現代風にしすぎない理由もここにありそうだ。店で食べるラーメンに近づいた商品もあるが少し違う。適度な「チープ感」がインスタントラーメンの魅力かもしれない。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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