「サッポロ一番」が圧倒的に愛され続ける納得の訳 袋麺で不動の首位、洗練より無性に食べたくなる味
「サッポロ一番」でも派生商品で『サッポロ一番 みそラーメン 旨辛』が発売されている。今回「サッポロ一番の中で、これがいちばんおいしい」(20代男性)という声も聞いた。
前述の「みそラーメン」「塩らーめん」でも“ちょい足し”では、「圧倒的にラー油が多く、みそラーメンにはコチュジャンを入れる人も目立ちます」(水谷さん)という。20代~30代を中心に、何かを足して刺激を求める消費者は多いようだ。
「消費者は変化するが、人間の本質は変わらない」
こうしてインスタントラーメンと向き合って、思い出した言葉がある。
「消費者はどんどん変化するが、人間の本質はそんなに変わらない」という言葉だ。
生活文化の視点を加えると「高度成長期に定着した飲食は強い」とも思う。即席麺で最強の「カップヌードル」(1971年)、袋麺の2強「サッポロ一番 みそラーメン」(1968年)、「サッポロ一番 塩らーめん」(1971年)はいずれも昭和40年代の発売。半世紀超も人気が続く。
この時代から消費者の食生活が洋風化されたり、レトルト食品などの登場で簡便化されたりしていき、上の世代にはなかった飲食を楽しむようになった。それが続いているのだ。
即席麺好きな人からは「あのチープ感がいい」(30代の会社員女性)という声も聞いた。「無性に食べたくなる」と話す人も多い。
「サッポロ一番」の開発を陣頭指揮した井田毅氏(サンヨー食品創業者、前社長)は、「美味しすぎるものは飽きる」と話していた。同社社内には、「サッポロ一番 みそラーメン」の最終決定の試食時に、井田氏が「試作品の中からいちばん美味しいものをあえて外した」という逸話が残る。
味を現代風にしすぎない理由もここにありそうだ。店で食べるラーメンに近づいた商品もあるが少し違う。適度な「チープ感」がインスタントラーメンの魅力かもしれない。
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