「被扶養者が社会保険に加入すると得」のカラクリ 収入減でも傷病手当金や年金額増などで利点大

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免除制度には保険料全額免除、4分の3の免除、半額の免除、4分の1の免除、納付猶予(50歳未満の人のみ)の5種類があり、いずれも申請が必要です。

免除認定の審査は、本人、配偶者、世帯主の3者(納付猶予になる対象は本人・配偶者のみ)の申請年度の前年所得を基準に行われます。市区町村の年金窓口やお近くの年金事務所で相談してみましょう。

前払いすると2年で約1万5000円お得

反対に、可能であれば保険料は前倒しで払ってしまいましょう。なぜなら先に納めることで得できるからです。国民年金には前納制度といって、将来の社会保険料をまとめて払える制度があるのです。1年度分を前納すると年間3540円、2年度分の前納なら2年分で1万4590円の割引となります。お金に余裕がある時期に払うのも手です。

1年分の社会保険料を前納した場合

一般的な企業の定年は60歳ですが、人生100年時代、多くの人は60歳以降も働き続け、収入を得る必要に迫られるでしょう。

その場合、定年以降は契約社員やアルバイトの形態で雇用される会社が多いと思います。契約社員、パート、派遣社員など、非正規雇用の場合は社会保険に加入できないと思っている人もいますが、先ほどお伝えしたようにそれは誤りです。

また、これまでは「特別支給の老齢厚生年金」といって、60歳から年金を支給されていた人は、月収が28万円を超えると年金が減額されてしまいましたが、2022年4月からはこの減額制度の適用額が47万円にアップします。収入をセーブしようと考えずに働けるようになり、定年を迎えた人たちにとって、厚生年金はよりお得な仕組みとなりつつあるのです。

最近では、「年金なんてあてにならない」「少子高齢化によって制度を維持するのが難しい」「年金をもらう世代を支える現役世代が減るので、制度自体が破綻するだろう」といった意見が、ネットや書籍などでいくつも見られます。

ですが、年金を負担しているのは国民だけではありません。年金は「賦課方式」といって、現役の世代が納めている保険料を原資にしています。納める人が減り、もらう人が増えるのですから、収支的に苦しくなるのは自明ですが、国も給付費の1/2を負担しています。したがって現役世代が減ったからといって即、制度が破綻するとは考えにくいのです。

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また、国はお金を補助しているだけでなく、預かったお金を投資によって運用しています。年金積立金管理運用独立行政法人(略称はGPIF:Government Pension Investment Fund)が管理しており、2021年度3月の時点で約95兆円の利益を出しています。そのため、年金制度がなくなる可能性は極めて低いと考えています。

収入を得て、保険料を払う。これは立派な社会参加です。できる範囲で働き続け、納税することで、年金がもらえるだけでなく、社会の一員としての自信も高まり、充実した定年後を過ごせることでしょう。

佐藤 敦規 社会保険労務士

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さとう あつのり / Atsunori Sato

中央大学仏文科卒後、印刷会社に勤務。40代まではお金に対する知識はゼロ。株式投資を始めるがリーマンショックで約100万円損してしまう。お金に関する知識の必要性を痛感し、社会保険労務士試験の勉強を始める。合格後は生命保険や年金の正しい知識を持ってもらおうと三井住友海上あいおい生命保険のセールスパーソンに転職。現在は社会保険労務士法人に勤務。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わるかたわら、セミナー活動や週刊誌やウェブメディアの記事も執筆。著書に『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(クロスメディア・パブリッシング)『「働き方改革」対応・助成金 実務のポイント』(同友館)など。

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