「被扶養者が社会保険に加入すると得」のカラクリ 収入減でも傷病手当金や年金額増などで利点大

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また、社会保険加入者しか享受できない以下のような優遇制度があります。

社会保険加入の最たるメリットが、傷病手当金です。万が一の事態によって働けなくなるなどした際、報酬日額の3分の2が最大で1年6カ月、支給される制度です。日額が6000円なら、4000円がもらえるのです。

1年以上、社会保険に加入していた記録があれば、退職後も受給できます(ただし退職時に傷病手当金をもらえる状態であったなどの条件があります)。この制度は国民健康保険にはないため、社会保険の加入者(加入者であった人)でないと受給資格がありません。

ケガなどで働けなくても収入が途絶えない

パートやアルバイトとはいえ、その収入は家計の大事な一部です。ケガや病気などにより万が一働けなくなった場合、被る影響は大きなものがあります。傷病手当金で収入の3分の2が補填されるのは、かなり安心できます。さらに、病気やケガをしたときにもらえる障害年金の判定基準が緩くなるというメリットもあります。

厚生年金の被保険者には、国民年金と同じ1級、2級に加え、3級と障害手当金という制度があります。国民年金における障害基礎年金2級の判定基準は「仕事ができない状態」であるのに対して、障害厚生年金における3級の判定基準は「労働に制限があるかどうか」で、2級よりも軽い症状で該当することもあります。

労働制限があるというのは、「1日のうち、短時間しか働けない状態」を指します。うつ病にかかってしまい今までと同じように働けなくなったとき、障害厚生年金の3級なら認定される可能性も出てきます。

また第3号被保険者の期間が大半の場合、65歳以降、もらえる年金は月額で10万円を大きく下回ります。

以前は、定年まで勤めた配偶者の年金や退職金などで余裕がある生活を送れたかもしれませんが、終身雇用の慣習がなくなった現在、転職やリストラなどで年金や退職金が減る恐れがあります。厚生年金によって老後のお金を1万円でも上乗せできたほうが安心でしょう。

加えて、厚生年金に加入している夫婦にはお得な制度があります。それは「加給年金」という制度です。

例えば、夫より年下の妻で、厚生年金の加入期間が20年未満、年収が850万円未満の要件を満たしている場合は、65歳からもらえる夫の年金に加給年金が加算されます。

支給金額は年間約39万円。届け出をすれば、夫が65歳になった時点から妻が65歳になる時点まで毎年、加給年金が夫の年金に加算されます。夫が年下で同様の要件を満たしている場合も同様です。

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