「GDPショック」後の日経平均のメドは? 2四半期連続マイナス成長をどう見るか

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11月18日の火曜日には、有識者による消費再増税の検討会議「集中点検会合」の最終日を迎え、その内容も受けて、安倍首相は消費増税延期と解散の意思を、同日記者会見で表明するとの観測が有力だ。

消費税先送りでも、政権の運営には影響せず

総選挙の結果、与党は大敗こそしにくいものの、勢力を数議席減らす可能性が高いと見込まれる。大敗しにくい、という理由は、第1には現在の野党への支持が低迷していることが大きい。

第2には、そのため総選挙ではどうせ現与党が過半数を維持する、との見込みが有権者の間に強く、選挙が盛り上がりにくいため、投票率が低下すると予想される(前回、2012年12月16日の総選挙の投票率は59.32%と、1890年以来の史上最低記録であったが、それをさらに下回る記録更新となる可能性が否定できない)。

これは組織力が強い自民党や公明党には有利で、浮動票に頼りたい民主党や、維新の会などには逆風だろう。

ただそれでも与党が議席を減らしそうだ、というのは、何よりも前回選挙が出来過ぎだったからだ。衆議院の与党の現有議席は、自民党が294、公明党が31で、合計325議席となっている。衆議院の定数が480で、その3分の2が320なので、与党は5議席分、3分の2を上回っているという圧勝状態だ。さすがにこの水準からは議席を減らすだろう。

ここで3分の2を目安として挙げたのは、衆議院で可決した法案が参議院で否決されても、衆議院で3分の2以上の賛成で再可決すると、法律として成立するためだ。したがって、今回与党が5議席以上減らして3分の2を下回る可能性があることを、悲観視する声が出ている。

ただ、安倍政権発足直後の2012年12月時点では、参議院では与党は過半数を有しておらず(自民党84、公明党19の合計103議席で、半数の121議席に届かず)、いわゆる衆参ねじれ状態にあったので、3分の2議席を与党が有していることは意味が大きかった。

しかしその後、2013年7月の参議院選挙によって、与党は現在過半数(自民党115、公明党20の合計135議席)を参議院で有している。したがって、これから行なわれるであろう総選挙で、与党が5議席以上議席を失っても、それほど深刻視するには当たらないだろう。

11月16日付けのコラムでは、外国人の短期筋が株価の勢いが鈍ったと見て一点利食い売りに走れば、短期的には1万7000円を割れ、大きく下振れするリスクがある、と予想した。年末年始あたりに1万8000円水準を奪回するとの予想に変わりはないが、GDPが予想以上に下振れしたことで、今週の日経平均の予想は下値1万6500円程度、上値は1万7300円前後と予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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