「GDPショック」後の日経平均のメドは? 2四半期連続マイナス成長をどう見るか

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まず民間最終消費については、実は前期より増加し、0.2%のGDP押し上げ効果を発揮している。その点では、消費増税による4~6月の落ち込みから、消費はやや回復していると言える。純輸出(輸出と輸入の差引)も0.1%分の押し上げだ。

ではマイナス(押し下げ方向)は何かと言えば、住宅投資が0.2%分、設備投資がほぼゼロに近い押し下げ方向で、住宅における増税前の駆け込み需要の反動などが、引き続き大きいことがわかる。

企業が大きく生産を落としたことが原因

しかしこの4つの主要項目を足しこむと、差引プラスとなっている。

実は最も大きくGDP全体の伸びの足を引っ張ったのは、在庫投資で、寄与度はマイナス0.6%だった。これは、足元の景気が冴えないことを深刻視し、企業が大きく生産を落として、在庫投資を抑制したことによる。つまり、企業がそれほど慎重にならなければ、7~9月のGDPは前期比プラスになった、ということを示している。

これを踏まえると、2期連続で前期比マイナス、という点をことさら懸念する必要は薄いが、在庫の寄与度が仮にプラスマイナスゼロだったとしても、全体の前期比は0.2%増(-0.4+0.6)となり、消費増税後の落ち込みからの回復が弱いことに変わりはない。したがって、首相が消費増税先送りを心の中で決断しているとすれば、その背中を押すような結果になったと言えよう。

この統計を受けた市場は、消費増税先送りの可能性が高まったことを好感するというより、景気の不振を懸念して、国内株価は下落しての始まりとなった。円相場は、統計発表直後には、瞬間117円を超えたが、これまでのような株価と円相場の連動が勝り(ただし、なぜ連動するのかは、いろいろと理由が述べられてはいるが、不可解だ)、株式市場が始まってからは株安と並行して円高方向へ押し戻されている。

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