地球にチリ降り注ぐ小惑星の謎に迫る女性の素顔 産休後すぐに復帰、道半ばでの退職経て…

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探査機はフェートンに秒速36kmという高速で近づき、すれ違いざまに、2台のカメラで天体の表面を詳しく観測。周辺に漂うダストの成分を分析する。また、フェートンに到着するまでの間、宇宙空間のダストをその場で分析し、結果を地球に送る。

「小惑星であるフェートンがダストをどのように噴いているのか、まだよくわかっていません。近づきすぎると、あっという間にカメラの視野から外れてしまうので、500kmの距離まで近づき秒速36kmですれ違います。シャッターチャンスは数分間です」

DESTINY+探査機による小惑星Phaethonフライバイの想像図CG(画像:JAXA)

フェートンは太陽に近づいた際に700度以上の高温であぶられ、その際にダストを噴き出すとされている。このように太陽にあぶられた小惑星の探査は、世界でも初めて。技術的にも挑戦の多い計画だが、宇宙空間でのダスト分析やダストを地球に届ける天体探査は、荒井さんが子ども時代から抱いていた生命起源の謎に迫るきっかけになる。

宇宙分野は、多様な人材ウェルカム

国籍や世代を超えて、さまざまな人と協力しながら、探査プロジェクトを進めている荒井さん。

アメリカの南極隕石探査隊に志願したいと、隊長に熱烈な手紙を出して叶えたこともある。氷河上でスノーモービルを自ら操縦し、隕石を朝から晩まで約2カ月にわたって探す。日本人女性では初めての参加だった。

宇宙分野の仕事に憧れる人に、荒井さんからメッセージを聞いてみた。

「理系じゃないから無理かな……など諦めているかたがいたらそんなことはないですよ、とお伝えしたいです。ミッションは多様な人が集まって成り立つものです。例えば、アイディアを出す人、モノ作りやデザインが好きな人、分析や実験が得意な人、数値計算ができる人などなど、1つ得意なものがあればオッケー。足りないところがもしあっても、チームで補います。

過去には美大とJAXAが共同で衛星を打ち上げるなどのプロジェクトもありました。研究に限らず、宇宙空間で何かおもしろいことをやりたい!など、自由な発想でチャレンジしてほしいです」

いつでも、やりたいことに真っ直ぐに行動してきた荒井さん。力強いメッセージだった。

柳澤 聖子 編集者/ライター

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やなぎさわ せいこ / Seiko Yanagisawa

1979年生まれ、愛知県出身。大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻修了。約16年間、ベネッセコーポレーションにて理科・自然科学系の教材を企画開発。その後、独立しフリーランスの編集者兼ライターに。子育て、家族、働き方、子どものSTEM教育などを中心に執筆活動をおこなう。2児の母。

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