ちょっとしたリアリティーを持たせるなか、女優の松本若菜と俳優の眞島秀和が主役となる「頭痛妻」のエピソードは『世にも奇妙な物語』のようなシュールさとファンタジー感を持ち合わせています。頭痛の正体は一昔前の韓国ドラマのようなオチで、これまたベタながら印象に残ります。今となっては愛憎劇の禁じ手の数々。それを容赦なく詰め込んでいることに脱帽します。
アジア13の国と地域で「トップ10」入り
監督を務めたのは『最高の離婚』(2013年)や『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年)の演出を手がけたフジテレビ所属の並木道子さんらです。Netflixシリーズ『金魚妻』はフジテレビグループと共同企画・制作したNetflixオリジナルドラマなのです。Netflixが2015年に日本に上陸した当初からフジテレビが共同企画・制作した作品は多く、国内外の一定の層から支持を集めるノウハウは蓄積されていそうです。
実際に「Netflixグローバル・トップ10」が2021年11月から公開され始めて以来、初動でランクインした初のドラマにNetflixシリーズ『金魚妻』が輝きました。2月14日~20日の1週間の集計で香港やシンガポール、タイなどアジア13の国と地域でトップ10入りし、非英語シリーズの中で7位を獲得しました。英語シリーズを合わせたトップ20の中では12位。十分健闘しました。最新の集計(2月21日~27日)でもランクインし、ナイジェリアでトップ10入りするなど、アジア地域以外にも広がっています。
同週の「Netflixグローバル・トップ10」にはイタリア発Netflixシリーズで不倫をテーマにした『忠実と背信』のほか、南米で人気の「テレノベラ」と呼ばれる愛憎劇作品も並びます。世界的に人気ドラマの条件に女性の「エンパワーメント」がテーマに含まれていることが多く、ご多分に漏れず、『金魚妻』もその要素を取り入れています。新作発表会「Netflix Japan Festival 2021」(2021年11月開催)に登壇した並木監督は「不倫だからといって男性に依存するわけでなく、自立しようとする姿を描いています」と見どころを話していました。
最終話に向かうほど、篠原のさくら役の余裕がある言動が見せ場となっていきます。ドラマは全体的に体に傷を負った不幸設定から、わざとらしいせりふ、強引な偶然が重なるストーリーに至るまで、やはり浅はかさが目立つわけですが、観る側も余裕を持ちながらたしなむと面白さに気づくはずです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら