物価の上昇は賃金の上昇に結びつくのか

日本銀行の緩和政策の効果に疑問

2012年度の家計貯蓄率は1.0%で、消費増税前の駆け込み需要のあった2013年度はマイナスの可能性もある。バブル崩壊前の家計貯蓄率が高かった時代であればともかく、このような低水準では、毎年の貯蓄を縮小して消費を拡大する余地はほとんどない。

金融資産のない世帯には資産効果は関係ない

2014年の「家計の金融行動に関する世論調査」(金融広報中央委員会)によれば、家計の金融資産は4年ぶりに増加したが、金融資産を保有していないと回答した世帯は、前年よりも若干減少したものの30.4%もある。金融緩和による資産効果が期待されているが、金融資産のない世帯にはその恩恵は直接及ばない。

1人当たりでは賃金が上昇していなくても、経済状況の改善で雇用者数が増加しているので、一人当たり賃金×雇用者数で決まる賃金総額は増加する可能性はある。しかし、GDP(国内総生産)統計でみれば4-6月期の雇用者報酬は前年同期比1.6%増にとどまっており、実質では同1.9%のマイナスとなっていて、今のところ所得から見ても消費が力強く増加することは期待し難い。

賃金が上昇しない状態では、輸入品の価格が上昇して国内物価が上昇するということが続かないと、物価上昇の勢いは次第に弱まってしまう。原油など資源価格は下落しているが、10月にQE3(量的緩和第3弾、大規模証券購入による資金供給策)の終了を決めた米国が利上げに向かうことも加わって、日銀が金融緩和を強化していけば、さらに円安は進むだろう。輸入物価が上昇し国内物価が上昇するという効果は期待できるが、金融緩和に付随して起こる円安についても、最近ではマイナス面への批判が強まっている。

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