逆境続く武田薬品、ウェバー新社長の苦悩

アステラスに抜かれた武田、新薬の将来性に疑問符

かねて得意とする泌尿器領域でも、2011年以降に各国で発売した、過活動膀胱治療薬「ベタニス」が欧米で伸びている。アステラスの畑中好彦社長は「次の中長期を支える新薬が全世界で極めて順調に立ち上がっていることが評価されているのだろう」と勝因を自己分析する。

一方の武田は、胃潰瘍治療薬「タケプロン」、高血圧症治療薬「ブロプレス」、糖尿病治療薬「アクトス」の三つの大型薬が黄金時代を支えていた。ところが、この3薬が2010年前後に相次いで、特許切れを迎える。結局、08年度のピーク時に比べ、3薬だけで6000億円もの売り上げが消えたのだ。

そんなピンチの中、次世代を担う新薬候補は枯渇。追い込まれた武田は大型買収に望みを託した。2008年に約9000億円で、がん領域に実績のある米国のベンチャー、ミレニアムを買収。2011年には新興国への進出を狙い、スイスのナイコメッドを約1兆円で傘下に収めた。この買収については、アナリストから「がん領域や成長確実な新興国市場への進出は悪くない戦略」と、一定の評価はある。

ミレニアムは現在の主力製品の一つ、多発性骨髄腫治療薬「ベルケイド」を開発するなど、徐々に成果も生んでいる。ただ同社では昨年、人望の厚かったデボラ・ダンサイア社長(当時)が去り、複数の幹部も後を追うように退社。今年10月1日付でアンナ・プロトパパス前社長も退社しており、人材流出が続く。

ナイコメッドの買収では国内企業随一の新興国の販路を手に入れたが、保険制度が未整備の新興国で売れるのは安価な薬ばかり。好採算の新薬で稼げるようになるには、まだ時間がかかりそうだ。

武田は買収によって、大型薬の特許切れ後も連結売上高は漸増しているが、収益性悪化は著しい。2013年度の営業利益は、ドル箱の大型薬で稼いでいた06年度に比べて、3分の1に落ち込んだ。

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