逆境続く武田薬品、ウェバー新社長の苦悩 アステラスに抜かれた武田、新薬の将来性に疑問符
「私は非常に負けず嫌い。今の状況を気に入っていない」
10月30日に開かれた、武田薬品工業の2014年度中間期(4~9月)の決算説明会。6月に社長就任後、初めて投資家の前に現れたクリストフ・ウェバー社長は、アステラス製薬に株式時価総額で逆転されたことについて、悔しさを隠さなかった。
国内製薬最大手として君臨してきた武田が、時価総額で逆転劇を許したのは10月6日。2007年には7兆円を超え、アステラスに2倍以上の差をつけていた武田の時価総額は、そこから2分の1の水準で停滞している。一方、アステラスの時価総額は2011年を底に上昇カーブを描き、リーマンショック前を超える水準に達している。
特許切れの対応で明暗
明暗を分けた最大の要因は、2010年前後に両社を襲った薬の“特許切れ”ラッシュへの対応の成否だ。薬は特許が切れると、安価な後発品への切り替わりが進むため、売り上げが激減する。
アステラスは前立腺肥大症治療薬「ハルナール」が米国で09年に特許が切れ、07年度に1224円あった売り上げは、2013年度に596億円まで縮小した。しかし、そこを新製品でうまく補った。
なかでも注目を集めているのが、2012年の米国発売を皮切りに26カ国で販売中の前立腺がん治療薬「イクスタンジ」だ。2014年度の販売計画はすでに1000億円に上り、複数の業界アナリストがピーク売上高を年間3000億円超と見込んでいる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら