10の図表で読む「円高と円安、どちらが得か」 ズバリ長期的には円高が望ましい

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2011年以降、日本は「輸出<輸入」の貿易赤字国です。短期の為替変動(特に急激な変動)は、日本経済にショック(メリット・デメリット両面)を与えますが、長期的には円高が好ましくなっているのです。

輸出に影響を与えるのは、世界の市場規模

「円安になると日本だけ輸出が伸びる」という現象は、ありえません。ゼロサムゲームのように、日本の輸出が増えると、ほかの国々の輸出が減るわけではないのです。世界の輸出=世界の輸入です。日本だけが輸出を伸ばし続けるには、他方で輸入だけを伸ばし続ける国がないと成り立たず、実際には不可能です。

では、実際に為替相場が輸出額に影響を与えるのか、与えないのか、データを見てみましょう。

為替相場の代表的指針は、3つあります。

① 名目為替レート 

いわゆる、毎日報道されているような、1ドル=○○円というものです。数値が増えると円安です。

② 実効為替レート 

単に、1ドル=○○円ではなく、ほかの通貨やインフレ率なども考慮して出す数値です。数値が増えると、円高です。

③ 購買力平価PPP 

一物一価の法則です。日本で、ハンバーガー1個100円、アメリカで1ドルなら、1ドル=100円です。長期的には、為替相場は、この購買力平価に沿って、動きます。「日本は一貫して円高」ということは、日本の国力そのものの強さを示します。

①名目為替レートと③購買力平価PPPでは円高傾向なのに対し、②実効為替レートでは円安傾向です。

一方、輸出は、戦後ずっと伸びています。為替相場(上記の①・②・③)との関係など、長期的にはないことがわかります。

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