車載ビジネスに特化、パイオニア最後の賭け 経営資源の一点集中で復活なるか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そしてLDの先の映像分野として踏み込んだのが、97年に世界で初めて発売したプラズマテレビ事業である。パネルの自社工場建設に加え、NECの同事業も買収。累計1000億円超をプラズマ事業につぎ込んだ。その効果は大きく、03年度には営業利益率が6%台と、ソニーやパナソニックに水をあけた。液晶のシャープとともに「デジタル家電の勝ち組」と名を馳せたのもこの頃だ。

だが、市場を切り開いた音響・映像(AV)分野は、その後、競争激化や技術革新の波にさらわれ縮小していく。祖業の音響機器は、低価格のミニコンポの普及などで採算が悪化。レーザーカラオケは結局、通信カラオケに置き換わり、DVD事業も競争激化で低迷。巨費を投じたプラズマは、大手顧客として見込んだソニーが液晶テレビに特化したのが痛手となったうえ、パナソニックや日立製作所など大手の参入で競争も激化。液晶に市場を奪われ、巨額の負債だけが残った。

虎の子のビジネスを売却

09年にはプラズマテレビから完全撤退。国内外の30工場のうち半数を閉鎖、規模縮小し、東京・目黒の本社を売却するなど、構造改革を進めた。「電機業界の中ではリストラのパイオニア(開拓者)だった」。今や業界ではそんな声も上がるほどだ。

パイオニアのAV事業で唯一、好採算だったのがDJ機器だ。90年代半ば、社内の新規事業の一環でスタート。その後、世界のトップDJと結び付きを深め、共同で試作品を作り、製品開発にフィードバックするなど、独自の手法で市場を広げていった。直近では世界シェア6割を占め、営業利益率は20%超。虎の子の事業へ成長させたが、今回、590億円での売却を決定。財務基盤を強化し、車載事業の成長に集中する。

次ページカーナビ事業の課題は?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事