車載ビジネスに特化、パイオニア最後の賭け 経営資源の一点集中で復活なるか
国内の車載事業はカーナビが主力で、市販が多いのが特徴だ。子会社に地図製作会社を抱えることで、競合他社のように地図製作の大手ゼンリンに外注する必要がなく、製作コストを抑えられる強みも持つ。独自の地図を活用し差別化にもつなげてきた。
ただカーナビは自動車メーカーの純正品へと需要がシフト。市販品は価格下落の傾向が続く。そうした中、成長のカギと位置づけるのが、インターネットとつながる次世代自動車「コネクテッドカー」への対応だ。13年にはNTTドコモと資本提携し、通信回線を通じ、走行情報を取得するなど体制を整備。個人向けに加え、タクシーの配車システムや運送業界など、法人向けサービスも始める見通しだ。
先進分野の開拓に課題も
またアイフォーンで操作できる米アップルの車載向けシステム「CarPlay」の対応機も先駆けて投入。視線を前方の車両や路面に保ったまま情報を認識できるヘッドアップディスプレーなど、新領域の開発も進めている。もう一つのカギが新興国開拓だ。カーオーディオでは、すでに中南米などで高シェアを占める。今後は情報端末で事業領域を広げていく。
「自動車のキーサプライヤーとして、なくてはならない存在になりたい」。9月の会見で小谷社長は力を込めた。ただ、「成長分野と位置づけられる先進運転システムで、必ずしも先行していない。今後の挽回が課題」(IHSグローバルの大山聡主席アナリスト)という専門家からの声もある。
経営資源の一点集中でどこまで競合と差をつけられるか。パイオニア最後の挑戦が始まる。
(撮影:今井康一)
(「週刊東洋経済」2014年10月25日号<10月20日発売>掲載の「核心リポート02」を転載)
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