やっと見えたBEV普及の道!日産主導の連携戦略 カギは電池再生、平時活用、自治体との連携強化

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第1に、EVの残価の向上だ。残価を上げることで、新車販売を後押しするのは自動車販売の基本である。だが、2010年代中盤頃、再販時期を迎えたリーフのリセールバリュー(下取り価格)は低く、日産販売店の現場では顧客対応の際に苦労したという経緯がある。

第2は、定置型電池などへの再製品化による、再生可能エネルギーの普及。第3は、リチウム、コバルト、ニッケル、グラファイトなどのレアメタル(希少金属)の確保による資源の保存。そして第4が、電池製造時のCO2削減である。

リユースされるリーフの電池パック。フォーアールエナジーにて(筆者撮影)

フォーアールエナジーの事業全体が本格的に動き出したのは、2010年代後半に入ってからだ。理由は単純で、年式の古いリーフが市場に出回るには時間がかかったため、市場から使用済み電池が戻ってこなかったからだ。

そのため、2010年中頃までは、リーフ用電池を使い容量12kWhの家庭用蓄電池システムなどを自社開発し、市場ニーズ検証や商習慣を学習していた。中古電池ビジネスを本格開始したのは、2018年3月に福島県浪江町に浪江事業所を設立してからとなる。

浪江事業所で見た電池パック再生の現場

フォーアールエナジーの事業実態を詳しく知るため、2022年1月上旬に浪江事業所を訪れた。場所は、JR浪江駅や浪江町役場がある町の中心部から、北へ車で約10分。浪江町藤橋産業団地の奥手にある。外観は大きな倉庫といった雰囲気だ。

フォーアールエナジー浪江事業所の外観(筆者撮影)

浪江事業所 副事業所長の貴堂眞成氏に、事業所内を案内していただいた。圧巻なのは、約800パックの在庫が並ぶ様子だ。このスペース以外にも外部の倉庫で在庫対応をしている。

電池パックの仕入れは、日産販売店や解体業者などからだ。販売店や解体業者に集まった電池パックを輸送事業者が取りまとめ、浪江事業所に週に数回、5~6パックを搭載した10トントラックを使って入荷する。

搬入後、まずは在庫登録を行い、日産の部品番号からフォーアールエナジーでの新しい部品番号に変更する。その後のトレーサビリティ(履歴)を追う体制を作るためだ。

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