民主党政権「脱官僚」というウソ、国民の期待を裏切る天下り規制の骨抜き
その一つの理由は、民主党のマニフェストにある。天下りを禁止し、定年まで働けるようにするという。普通にやれば、高齢者が滞留し人件費は増加する。現に総務省は人件費は2割増えると試算している。他方、マニフェストでは総人件費2割削減を約束している。二つを実現するには、給与と人員の大幅カットが必須になる。
しかしマニフェストでは、給与は労使交渉で決めるとし、定員も見直しとしか言わず、いずれについても下げるとは書けなかった。有力支持団体である官公庁の労働組合に遠慮しているとしか思えない。
もう一つは、天下り緩和だけでなく、さまざまなところで見られる政治主導の後退だ。
中高年公務員の既得権維持政策の多くは、昨年初めから官僚側が内々に進めてきた検討の結果に沿っている。官僚主導といわれた自民党時代でさえ批判を恐れて棚上げにしていた、官僚に都合のよいお手盛り政策を、民主党は受け入れたように見える。公務員改革を公務員にやらせるのでは、実のある改革などできるはずもない。
給与や定員に手を付けないまま、公務員が定年まで働こうとすれば、必然的に採用を減らさざるをえない。政府は来年の新規採用者数を4割削減するとしている。いつまでも中高年が上につかえており、しかも新卒が入ってこないのでは若手・中堅の士気は下がってしまう。私のところへも、若手官僚から「中高年優遇の人事政策はやめてほしい」という、悲鳴にも似たメールが来ている。
国家公務員法の抜本的な改正が必要
中高年官僚の行き場対策として、前述のような民間企業への派遣拡大が打ち出されたが、本当に必要なのは年功序列で昇進・昇級していく現在の制度の抜本的な見直しである。