民主党政権「脱官僚」というウソ、国民の期待を裏切る天下り規制の骨抜き
民主党政権が誕生して1年。民主党が強く主張していた「政治主導」と「脱官僚」は、まったくの看板倒れとなるおそれが出てきた。「脱官僚」を示すはずの国家公務員法改正が一向に進まないだけでなく、公務員の再就職・天下りについて、自民党時代より緩和される動きが顕著になってきた。
筆者は福田政権時代から、公務員制度改革推進本部でプラン作りに取り組んできた。昨年、民主党が政権に就いたときには、制度改革が一気に進むのではと期待していた。
しかし菅政権の下では、制度改革どころか、官僚の天下り促進策と既得権益の拡大が進んでいるように見える。6月22日に閣議決定された、国家公務員の「退職管理基本方針」では、「天下りのあっせんを根絶する」とうたっているが、逆に、事実上の天下りを容易にする方法と、出世コースから外れた官僚の救済策が用意されている。
民主党がマニフェストで主張した天下りの根絶とは何を意図していたのか。原点に戻って出直してほしい。
行き場のない幹部用に専門職ポストを新設
「基本方針」の何が問題なのか。具体的に見ていこう。
第一に、独立行政法人(独法)への現役出向や、民間企業への派遣の拡大を認めたことだ(独法への出向は現役出向、民間企業へ異動することは派遣と呼ばれているが、本稿では厳密に区別しない)。
第二に、独法の役員ポストについては、昨秋から公募が義務づけられたが、現役出向で就く場合は公募しなくてもよいとしたことだ。
第三に、高位の「専門スタッフ職」を設け、部長級以上の幹部を、ライン管理職とは別に高給で遇する仕組みを作ったことだ。