民主党政権「脱官僚」というウソ、国民の期待を裏切る天下り規制の骨抜き
1番目の民間企業への派遣拡大はどこに問題があるのか。すぐにはわかりづらいかもしれない。
中央官庁では60歳の定年を前に、各省庁の大臣官房が中心になって再就職先の斡旋を行ってきたが、安倍政権での国家公務員法改正で禁止された。官と民の癒着を防ぐ観点から、極めて妥当な法改正であった。
ところが菅政権は、国家公務員法で禁じられたのは定年前の「勧奨退職」に伴う天下り斡旋であり、中高年の現役職員の出向や派遣は退職者の斡旋には当たらないとした。これにより天下り規制は有名無実化するおそれがある。
天下りが問題視されるのは、省庁による民間企業への押し付け人事や、官と民との不明朗な関係を生むからであり、公務員が退職しているか現役かは関係ないはずである。にもかかわず、「基本方針」では「公務員時代の専門知識を民間で活用する」「官民との交流を深める」という美名の下、中高年職員の実質的天下りが推奨されている。
2番目の、現役出向者が独法役員に就く場合は公募しなくてもよいとの改正は、それを正当化する理由が見当たらない。政治主導で所管大臣が独法役員を選任するから公募しなくてもよいというのが唯一の理由らしいが、政治主導を隠れみのにした官僚の利権拡大にしか映らない。