読める? 雲梯 徳次郎 埴生…増える「難読IC」 なぜ、IC/JCTに難読名称が付けられるのか?

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ほかにも「かな・カナ」を使ったさまざまな事例がある。深川留萌道の「北竜ひまわりIC」は、地域の観光資源である広大なひまわり畑から命名した「観光地名」である。つまり、「ひまわり」がなく、「北竜IC」で問題はなかったわけだが、地域振興のPR的な願いが込められているのだ。

2021年4月に供用開始の伊勢道「多気ヴィソンスマートIC」は、54ヘクタールもの広さを誇る我が国最大級の商業施設「Vison」に伊勢市方面から直結するICだ。これは今回のテーマである「難読」とは無関係だが、民間施設の名をつけている点で「今どき」の命名であろう。

高速道路や自動車専用道に関する名前では、ほかにもSA/PA名やトンネル、橋などの名前にも難読名や特徴のある名前がたくさんあるので、また別の機会に取り上げてみたい。

7つのクイズの正解は?

最後に、クイズで出した7つの難読名の正解を記しておきたい。

(1)大洲冨士/松山道・大洲道路→「おおずとみす」
大洲市にそびえる市のシンボル的な山、「冨士山」から命名。富士山に似ていることからつけられた名前だが、「冨」の字も読み方も異なる。

(2)巨椋/京滋バイパス→「おぐら」
かつて京都市の南部にあった「巨椋池」から。

(3)草津田上/新名神→「くさつたなかみ」
「田上」は、草津市ではなく大津市の地名。田上(たなかみ)中学校などがある。

(4)金御岳/都城志布志道路→「かねみだけ」
都城市内にあるIC近くの山の名前から。

(5)松橋/九州道→「まつばせ」
平成合併前の自治体名「松橋(まつばせ)町」から。現在は宇城(うき)市となっている。JR鹿児島線の駅名にもある。ちなみに、「橋」を「ばせ」と読ませる地名は、他に「滋賀県草津市矢橋(やばせ)町」などがある。

(6)雲梯/南阪和道路→「うなて」
奈良県橿原市の地区名。万葉の時代から記録がある歴史的な名称。「雲梯」には、懸垂して渡る遊具の「うんてい」の意味もある。

(7)埴生/山陽道→「はぶ」
こちらは山陽線の駅にも同じ名前がある。イングランド民謡「埴生の宿」は「はにゅう」と読むこともあって、「はぶ」とは読みづらい。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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